第11章 待ち侘びた日々
少し身体を休めた後、起き上がった杏寿郎さんはその辺に放り出した私の服を集め、いそいそと私に着させてくれた。杏寿郎さんは毎回こうして私に服を着させてくれる。私はその時間がとても好きだ。
「今週の土曜も休みと言っていただろうか?」
「はい。しばらくは土曜日の出勤はないので、今のうちに引っ越しを進めておいた方が良いかもしれませんね」
「うむ!たが、今日ナオとの結婚を皆に報告したところ、お祝いしたいと言ってくれてな!土曜の夕方から集まれたらと話していたのだが予定はどうだろうか?」
「っ本当ですか!?大丈夫です!何の予定もありません!」
「そうか!それは良かった!テスト明けでたまたま皆時間があってな!では明日皆に伝えておこう!」
私はその"皆"がどこまでを示すのか気になりはしたが、急激な眠気に襲われ、更には身体の怠さも相まりだんだんと目を開いているのも億劫になる。
「もう眠いのだろう。ゆっくり休むと良い」
杏寿郎さんはそういうとゆっくり立ち上がり、電気からタラリと垂れている紐を引っ張る。パチリと電気が消え、部屋が真っ暗になった。今更ながら電気も消さずに行為に及んでいたことに気づき(振り返ってみると、2回に1回は電気がついていた気もする)、私は半分眠りながら
「杏寿郎さん‥次にするときは、電気を消して下さいね‥」
とお願いをした。その私のお願いに対し、
「ナオの可愛い顔が見れなくなる故そのお願いは了承しかねる」
と杏寿郎さんが言ったのは聞かなかったことにしよう。
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翌日。昼休みに瑠火様お手製のお弁当を頬張っていると
"甘露寺にナオのことを伝えたところ、土曜日まで待てないと言っていた。君の前に現れるやも知れない"
と杏寿郎さんからメッセージが届いた。私にとってそれは最高に嬉しい知らせだ。会いにくる可能性があるのでれば連絡を取りたいので連絡先を教えて欲しいとお願いしたが、どうやら
"蜜璃ちゃんから伊黒様。伊黒様から杏寿郎さん。杏寿郎さんから私"
という流れになっていたらしく、杏寿郎さんは「甘露寺のプライバシーを勝手に晒すわけにはいかない」と断られてしまったようで、結局教えてもらう事は叶わなかった。
伊黒様も相変わらずだな。
と思ったが、2人の関係が今も繋がっているとわかり私はとても安心した。
