第11章 待ち侘びた日々
時計見るとまだ10時、眠るのにはまだ早い。
「本を読んでいるので、私の事はお気になさらず」
「うむ!すまないな!」
そう言って杏寿郎さんは採点に取り掛かる。私はと言えば、行儀が悪いかなと思いながらもこの部屋には座椅子等ないので、押入れから敷き布団を出し、その上に掛け布団を置き、更にその上にアパートから持ってきた枕をポスンと置く。その枕を胸に抱き込む様にうつ伏せの姿勢で寝転がる。そして先程仕事用の鞄から取り出しておいたイヤホンを耳につけ、スマートフォンに入っているお気に入りの音楽を流す。
よし、週末になったらビーズクッションを買いに行こう。
と、密かに決意を固めわたしは本の世界へと身を投じた。
「…っビックリしたぁ」
急に背中に温もりを感じ首だけ振り向くと、そこにはいつの間にか私の背に覆いかぶさる様な姿勢を取った杏寿郎さんがいた。音楽を止め、イヤホンをスポリと耳から抜き取り布団の横に置く。
「随分集中していた様だな。何を読んでいるんだ?」
「これですか?好きな作家さんのミステリー小説です」
「ナオは読書が好きなのか?」
「はい。テレビを見るよりかは、読書や音楽を聴く方が好きです。あ、でも映画を観るのも好きです」
「そうか!俺も読書は好きだ!読むのは専ら歴史物ばっかりだがな!君も読んでみると良い!」
確かにこの部屋の本棚には"戦国時代"やら"日本の歴史"やら難しそうな本がたくさんあった。しかし、残念ながら私はそう言った類の本には全く興味がない。
「機会があったら是非」
なんとも曖昧な返事で誤魔化した。
「ところで杏寿郎さん。さっきからどこを触っているんですか」
そう。普通に会話をしている様だが、その間ずっと杏寿郎さんは私の腹をサワサワと撫でていた。
「柔らかくて気持ちがいい!」
「そんな事は聞いていません」
「以前はもっと硬かったが」
「前の私は曲がりなりにも剣士でしたので。その頃と比べてもらっては困ります!」
そう言ってモジモジと杏寿郎さんの手を追い出そうとするが、全く出て行く気配はない。それどころかその手はどんどん上に上がり、ついには私のナイトブラの中に無遠慮に侵入し、胸全体を覆う様に触れた。
「ちょっと!どこに手を突込んでるんですか!」
「手に収まる良いサイズだ!」
「だからそんな事は聞いてません!」
