• テキストサイズ

暖かく和やかに【鬼滅の刃】【煉獄さん】

第11章 待ち侘びた日々


銀行を出てあの視線から解放されると、自然と"ふぅ"と溜息がこぼれた。前世でも散々浴びてきたあの手の視線を、まさか今世でも浴びる事になるとは。そしてその相手に敢えて微笑みかけるとは、我ながらいい性格をしていると思う。けれども、嫌な女に見えたとしても、誰にどうこう思われようと、杏寿郎さんの隣を誰かに譲る気なんて毛頭ない。私だけの特別な場所だもの。

そうは言ってもモヤっとした気分である事には変わらない。思ったよりも早く手続きも済んだので、私は気分転換も兼ね、駅の近くのビルに入っている少し高めの洋菓子屋さんへと足を運ぶ事にした。

何とそこでは"季節外れのサツマイモフェア"となんとも杏寿郎さんが喜びそうなイベントが開催しており、私の頭は先ほどの嫌な気分などすっかり吹っ飛んで行った。

杏寿郎さん、喜ぶだろうな。

その喜ぶ顔を想像しながら美味しそうに並ぶケーキをゆっくり選んでいると、まだケーキを買ってもいないのに、私の心は幸せで満たされる様だった。




--------------------------




「ただいま戻りました」

控えめに帰宅の挨拶をし、取り敢えずケーキを置いてこようと台所に向かうと、そこには瑠火様の姿があった。

「ナオさん、おかえりなさい。この時間にご帰宅ということは、午後は無事、休みをもらえたと言う事でしょうか」

「はい。お陰様で免許証の名義変更も、銀行口座の名義変更も無事出来ました。瑠火様の言っていた通り、"煉獄"の印鑑、ハンコ屋さんに置いていなくて…瑠火様に頂いておいて本当に良かったです」

今朝、私が出社する際、もしかしたら午後は休みをもらって免許証と、銀行口座の名義変更に行くかもしれないとお伝えしてあった。そんな私に瑠火様が

「"煉獄"の印鑑は市販では購入できません」

と言って、余っている物だからと印鑑を私に持たせてくれたのだ。お言葉に甘え、受け取りはしたものの"そんなまさか"と言う思いも拭いきれず、ハンコ屋に立ち寄ってみたが瑠火様の言っていた通り煉獄の印鑑は置いていなかった。

「お役に立った様で良かったです。ところで、そちらの箱は?」

「ケーキを買ってきたんです。季節外れのサツマイモフェアとなっていたので…思わず買い過ぎてしまいました。良かったらこれから一緒に食べませんか?」

/ 391ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp