第10章 灯る灯火
サッと立ち上がり
「嫌です!私はもっと皆さんと一緒にいたいです!」
そう宣言し、杏寿郎さんの元から逃げるように瑠火様の隣へと素早く移動した(我ながら酔っ払っている割に速く動けるものだと感心した)。
「よもや!待ちなさいナオ!」
「瑠火様ぁ」
キュッと瑠花様の腕に自分の腕を絡めスリスリと擦り寄る。
「なんですかナオさん」
酔っ払いの私に絡まれているのにも関わらず、瑠火様はほんのり口角を上げ優しい声で私の名を呼んでくれた。
「瑠火様はどうしてそんなに素敵なのですか?私も毎日瑠火様のお側にいれば、そんな風に素敵な大人の女性になれますかぁ?」
「心配ありませんよ。酔っ払っていないナオさんは今でも充分素敵な大人の女性です」
「本当ですか!?嬉しいですぅ!」
眉をほんのり下げ、優しく微笑む瑠火様の目元は、大好きな杏寿郎さんのそれととても似ていた。
「ほらナオ、もうこっちに戻って来なさい」
「嫌ですぅ!」
「嫌じゃない!」
そう言って私を捕まえに来ようとする杏寿郎さんから逃げ
「千寿郎さぁん」
「はい。なんですかナオさん」
今度は千寿郎さんの隣へと移動した。瑠火様にしたようにその腕に絡みいた私を、千寿郎さんは嫌がる様子もなくクスクス笑いながら見ている。
「ほらナオさん、兄上が困っているようですよ」
「杏寿郎さんの事は今はいいの!」
「よもや!」
杏寿郎さんの不満気な声が耳に入って来たが、残念ながら今の私にそんな事は関係ない。
「…この間は連絡出来なくてごめんねぇ…」
そうションボリと言う私に
「そんな事気になさらないでください。それよりも僕は今、こうしてまたナオさんと共に過ごせることがとても嬉しいです。これからまた、よろしくお願いしますね」
と、千寿郎さんはまるであやすかのように優しい声色で言った。
「…昔から思ってたんだけど、千寿郎さんの中身は一体何歳なの‥?」
そんな私の馬鹿な質問にも千寿郎さんは笑ってくれた。
「ほら、もう良いだろう?こっちに来なさい」
プイッと、拒否を示すようにそっぽを向く。
「む!」
杏寿郎さんは再び私を捕まえようと、ゆっくりと忍び寄るようにこちらへ向かってくる。