第10章 灯る灯火
その後は杏寿郎さんや千寿郎さんと学校での出来事や、日常のたわいない話をして過ごした。だんだん暗くなって来たので、私が"そろそろお暇します"と伝えたところ、杏寿郎さん、千寿郎さん、そして瑠火様までも泊まっていくようにと勧めてくるので結局そのお言葉に甘えさせてもらった。
現代とはとても便利なもので、ちょっと歩けばコンビニやらスーパーやらが大抵ある。私は杏寿郎さんと千寿郎さんに挟まれ最寄りのコンビニまで3人仲良く並んで歩いた。
最近はコンビニでも割と可愛らしいショーツが買えるので、売られている中でも1番可愛らしいものと、カップ付きのタンクトップ、そして歯ブラシセットをひとつずつ購入した。杏寿郎さんはと言えば、今世では人並みに飲酒をするようで槇寿郎様と自分用にと4本ビールを買っていた。
「ナオも何か飲むか?」
「私は…あまりお酒は飲まないんですけど…せっかくなのでその白葡萄の酎ハイを1本お願いします」
杏寿郎さんは私が指定したそれを取ると
「これではジュースと変わらないな!」
と言いながらヒョイッと買い物カゴの中へと入れた。
「兄上!限定のサツマイモチップスが売っております!」
「それは本当か!?よし、買うぞ!」
とはしゃいでいる杏寿郎さんと千寿郎さんの姿に、私はニヤニヤと口許が緩むのを止められなかった。
「んふふっ…杏寿郎さぁん‥っ!」
頭がふわふわでとっても良い気分だ。
「誰です?ナオさんに日本酒を飲ませまた不届き者は」
瑠火様が目を吊り上げ言った。
「…俺は悪くない。水と勘違いして勝手に飲んだのはそいつ自身だ」
なる程、先ほど飲んだ不味い透明な飲み物は水ではなく日本酒だったのか。
「ナオさん、大丈夫ですか?」
「‥大丈夫です!ね!杏寿郎さんっ!」
そう言って槇寿郎様や瑠火様や千寿郎さんの目の前にも関わらず、私は杏寿郎さんの胸元にスリスリと頬を擦り寄せる。
「杏寿郎。喜んでいる場合ではありませんよ」
「すみません!つい可愛らしかったもので!」
アルコールの力ですっかりと"羞恥"の感情が欠落してしまい遠慮なく甘える私の身体を、杏寿郎さんはギュッと抱え込んでいた。
「ナオ、これ以上飲んでは明日君のご両親の元へ挨拶に行くと言うのに、二日酔いになってしまうぞ。口をすすいでもう寝なさい」