第2章 青から赤へ
「そうか!ではこれからは俺が稽古をつけてあげよう!」
「え‥煉獄さんと‥稽古ですか?」
「そうだ!稽古だ!」
代々炎柱を輩出する名家の御子息から直接炎の呼吸を指南してもらえる。願ってもない提案だ。でも自分のために貴重な時間を割いてもらって良いものだろうか。
「療養の終わりが見えたら俺の元へ烏を飛ばすように。迎えをよこすから準備をしておいてくれ」
「え!ちょっと待ってください!」
悩む私を置いてけぼりにして話はどんどん進められて行く。煉獄さんはオロオロしている私に気付いているのかいないのか自分の言いたい事を言い終え今にもこの場を去って行こうとしている。
「これから弟と鍛錬の約束をしていてな。すまないが今日はもう行く」
「あの!煉獄さ‥‥」何とか引き止めようと腕を掴もうと出した手は虚しく空を切る。
「‥はやっ」
1人縁側にポツンと残された私はどうしたものかと途方に暮れしのぶさんがいつまでも帰ってこないと怒って探しに来るまで動けずにいた。
「明後日にはお家に帰って問題ないわ」とカナエ様に素敵な笑顔で言われても私はどうすればいいか決める事が出来ていなかった。日課となった縁側での読書のために中庭まで来るとタイミングを見計らったかのように自身の相棒がやって来る。いつもの場所に座ると、ちょこちょこと膝の上にやってきた。
「ねぇ。私どうしたら良いと思う?稽古を付けてもらえるのはもちろん嬉しいんだけど本当に今更炎の呼吸が使えるようになるのかな?それに煉獄さんって絶対忙しい人だと思うの。そんな人の時間を私の為に使ってもらっても良いのかな?」
もういっそのこと失礼承知でこの子に断りの連絡をしてもらおうかなんて思ったのに「明後日、療養終わり、伝えてきた。任務後、烏が迎えに来る、言ってた」なんてサラッと言われ驚愕する。
「え!?待ってよ!いつの間に行ってきたの!?」
私の膝に座っていた小さな身体を持ち上げ、目線を合わせる。
「どうして勝手なことするのよー!」と半泣きで訴える私に
「稽古、お前の為になる。あいついい奴。だから行け」
なんて普段口数の少ないこの子が言うものだから何も言えなくなった。これはもう、腹を括るしかない。