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暖かく和やかに【鬼滅の刃】【煉獄さん】

第9章 火が灯るその日まで


「迎えに‥来てくれたんですね」

ずっとずっと会いたいと願っていた。杏寿郎さんも私ももう生きてはいないはずだが、その感触、温もり、全てが本物でその懇願してやまなかった身体に縋りつき頬を擦り寄せる。

「‥こちらに来るのがちょっと早すぎやしないか?」

言葉ではそう言っているが、私を抱きしめるその腕にはギュッと力が込められる。

「良いんです。私、自分の責務をちゃんと全うしました。‥最後まで炎柱にはならなかったけど‥」

玖ノ型が出来るようになったら、と思っていたが結局成功したのはあの時が最初で最後だった。だから結局炎柱になれないままこうして死んでしまった。

「いや。ナオは誰が何と言おうと、立派な炎柱だ。俺は君が頑張る姿をずっと見てきた。誰にも文句は言わせまい」

そう言って、杏寿郎さんはその大きくて温かい手で私の髪を撫でる。その手の温もりに、自然と涙がこぼれ落ちる。

「ずっと、見ていてくれたんですね‥。もう絶対にお側を離れません」

「‥‥っ」

私のその言葉に、杏寿郎さんが言葉を詰まらせている。

どうしたんだろうと、顔を見上げると杏寿郎さんはじっと私を見下ろしていた。その思い詰めるような顔に私は急に不安に襲われる。

「‥っ杏寿郎さん?どうしたんですか?‥私‥なにか杏寿郎さんが気にするようなこと‥言ってしまいましたか?」

私が情けない声でそう問いかけると、杏寿郎さんは慌てて

「いや!そうではない!」

と言った。それならば尚のこと、先ほどの杏寿郎さんの様子が気になる。私はこの不安な気持ちをなんとか埋めたくて、杏寿郎さんへと回している腕を更に強める。

「俺も同じだ。もう君と離れることなど考えられない。だが、ここは謂わゆる死後の世界。いつまでもここにいるわけにはいかない」

大好きな瞳が私を見つめている。

「輪廻転生の輪に入り、新たな歩みを始めるんだ。‥その為には、一度ナオと離れなければならない」

サーッともう無いはずの体温が下がるのを感じた。

「‥っ嫌です!また‥離れ離れになるなんて‥っやっとこうしてまた会えたのに‥いやぁ‥‥っ」

駄々をこねる子どものように嫌だ嫌だと泣く私の背中を杏寿郎さんが優しく撫でる。




この背中を撫でられる感覚も、やっとまた感じられたのに‥。また‥一緒にいられなくなるの?





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