第9章 火が灯るその日まで
「はい!どうかされましたか?」
慌てて着いた先にはやはり隠が立っており
「え!?貴方どうしたの!?」
その腕には私の相棒が抱かれていた。両手を差し出し、慌ててその小さな身体を受け取る。
「‥自分は今日、事後処理の一環で無限列車の横転した場所に居ました」
「‥そうですか‥」
気持ちの整理が着いたとはいえ、まだあの場所の話はあまり聞きたくないのが正直なところだ。
「えっと、あなたは確か‥後藤さんでしたよね?」
この隠の方には杏寿郎さんも私も何度もお世話になったことがある。
「はい。後藤です。処理中この烏が飛んできたので、何か伝令かと思ったら俺を通り過ぎて森の中に入って行ったので気になって追いかけました。そうしたらこれを‥」
そう言って後藤さんが背負っている荷物から取り出したのは、私が探していた物。
「‥っそれは‥!」
烏に所在だけ確認してもらって、自分で取りに行くつもりだった。なのに今私の手元にある。私は震える手で後藤さんが差し出してくれた布に包まれているそれを受け取り布を解く。
やっぱりそうだ。
杏寿郎さんの折れてしまった日輪刀の刀身。
「‥どうして‥これを?」
思わず声が震えてしまいそうになるのを必死で抑える。
「柏木さんの烏が咥えて持ち帰ろうとしてたもんで。でも流石にそんな重い物咥えたら飛べないでしょう?辞めろって言っても聞かないから、俺が保護して連れて帰ってきました」
「っそんな‥場所だけ確認してくれれば良いって‥言ったじゃない」
私の言葉に相棒は何も答えず、スンとそっぽを向いてしまう。
「‥柏木さんの為に、早く届けたかったんでしょう。良い烏ですね」
「‥はい!」
私はその小さな身体をギュッと抱きしめ、「ありがとう」と何度も感謝を伝えた。
「‥じゃあ、用は済んだので俺は帰ります」
そう言って踵を返す後藤さんに
「待ってください!‥頼みたいことがあるのですが」
と声を掛けると、再びこちらを向いてくれた。
「良いですよ。遠慮なく言ってください」
「少しだけ、待っててください」
私は急ぎ部屋へ向かい、先ほど準備しておいた文を引っ掴んで、再び後藤さんが待つ門へと走った。
「‥お待たせしました」
「いいえ」
「‥この刀身と文を‥刀鍛冶里にいる鉄穴森さんに届けてはもらえないでしょうか?」