第2章 青から赤へ
「っすみません!あの女性は無事なんでしょうか?もし何か少しでも知っていたら教えて下さい!」
烏の話で思い出したが烏に女性を逃すようにお願いした後、自分は鬼の首を切ってそのまま気を失ってしまった。だから無事かどうかを確認できていない。あの鬼から逃げることはできたが、もしかしたら他の鬼に襲われた可能性も無いとは言えない。
「心配には及ばない。彼女は無事、隠達が家に送り届けた。あの後すぐ赤ん坊も産まれたとのことだ」
「そうですか‥良かった」
ハナエさんは助けることが出来なかった。でもあの女性は助けることができた。その事がとても嬉しくて涙が溢れそうになる。
「君にとても感謝していたと聞いた。よく頑張ったな」
「‥ありがとう‥ございます」
煉獄さんのその言葉になんとか堪えていたはずの涙が零れ落ちる。ほぼ初対面の人だが、自分の積み重ねてきた努力を認めてもらえたようなそんな気がした。
「さて、話を戻しても良いだろうか?」
そういえば煉獄さんはわざわざ私に聞きたい事があるとここまで来てくれたんだ。自分の話ばかり聞いてもらっている場合ではない。
「‥はい。聞きたいこととは何でしょうか?」
「うむ!まずは隣に座っても構わないだろうか?」
「っすみません!私だけ座ったままで!」
「いや、君は病み上がりだろう。大人しく座っていた方が良い」
そう言って煉獄さんは1人分の幅を空け私の隣に座る。
「俺があの場に着いたのは、まさに君が鬼の頸を切り落とすための一撃を繰り出した時だった」
成る程漸く合点がいった。なかなか隙を見せなかったはずのあの鬼が気を取られたのは煉獄さんの気配だったのか。
「君は水の呼吸の使い手で良かっただろうか?」
「‥はい、その通り‥です‥」
煉獄さんが私に何を聞きたいのか‥わかってきたような気がする。
「俺の見間違いでなければ、君の刀の色は赤色ではなかっただろうか?」
「‥はい。そうです」
やはりその事か。隊士になりたての頃は同じ任務に着いた別の隊士に同じような質問をされることがよくあった。最近は何度も同じ質問に答えるのが面倒で適当に受け流していたからそんなことすら忘れていた。
「最初に覚えた呼吸から違う呼吸に換えることは決して珍しいことではない。だが大体の人間が自分の向き不向きに合わせてそれを換える選択を取る」
