第2章 青から赤へ
今までは任務が休みになると鍛錬をするかあの鬼の情報収集をすることに時間を費やしてきた。仇を撃ち終えた今その分時間が出来る。鍛錬の時間を増やすのももちろん良いが、正直言うと最近とても伸び悩んでいる。それであれば今は無理せず医療の知識をつけることが自分を、そして仲間を守る役に立つのではないかと思う。
パラパラとページをめくり、中々理解ができない箇所は繰り返し読み込む。ここは後でカナエ様かしのぶさんに教えてもらおう、なんて考えていると急に視界が影になり文字が読みにくくなる。
え?なんで急に影が‥?
状況を理解しようと読んでいた本から顔を上げる。
目の前にはギョロっとした目をこちらに向ける赤い毛先の黄色い派手な頭。あ、この頭ついこの間見た。
「素晴らしい集中力だ!剣術だけではなく医学の分野にも目を向けるとは俺も見習いたいものだ」
あぁ‥すっかり忘れてしまっていた。
「無事目が覚めたと聞いて安心した。俺の名は煉獄杏寿郎!病み上がりのところ急に訪ねて来てすまない。どうしても君に確認したいことがあってな」
お会いしたらまず真っ先にお礼を言わなくてはと思っていたのにまさか目の前に来るまで気がつかないなんて‥
「聞いているのか?」
ズイっと近づいてきた端正な顔にはっと我にかえる。
「‥っ申し訳ありません!つい夢中になってしまって‥」
「ははは!構わない」
「本来であれば真っ先にお礼を述べるべきなのに‥あの時は助けていただきありがとうございました。私は柏木ナオです。お陰様でこうして命拾いをすることができました」
持ったままだった本を傍に置き、姿勢を正し頭を深く下げる。
「礼には及ばない。仲間を助けるのは当然のこと!それよりも君の烏によく礼を言ってあげると良い」
「私の‥烏ですか?」
「あぁ。君を助けて欲しいと必死で俺のところへ飛んできたようだった。あの烏がいなかったら俺は君を助けられなかっただろう」
そんな事全然知らなかった。普段から口数(烏数というべきか)は少ないけど従順で気の利く子だなとは思っていたが、まさか自分を助けに飛んでいてくれたとは。胸がジンと温かくなる。
「教えて頂きありがとうございます。退院したらあの子の大好きな金平糖をたーくさん買ってあげようと思います」
「そうしてやると良い」
あの子の喜ぶ姿が目に浮かぶ。
