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暖かく和やかに【鬼滅の刃】【煉獄さん】

第9章 火が灯るその日まで


「‥そうだね‥あんなの‥思ってても口にするべきじゃなかった‥」

「っ思う事自体ダメです!」

‥珍しく、千寿郎さんが目を釣り上げて怒っている。その顔は、やはり杏寿郎さんとそっくりで。

「‥っふふ」

声を荒げて怒るその姿も新鮮で、思わず笑ってしまった。

「‥ナオさん。僕は怒っているんです。笑い事ではありませんよ」

千寿郎さんは、言葉ではそう言いつつも、安心したように微笑んでいた。

そう言えば笑ったのなんて‥いつぶりだろう。‥あんなに苦しかったのに‥今はとてもスッキリした気分。

私はずっと、泣きたかったのかもしれない。そう言えば、父を亡くした時も同じだった気がする。泣いてもしょうがないと諦めて隠して自分の殻に閉じこもろうとしていた。それをこじ開けてくれたのがハナエさんだった。

「‥千寿郎さん」

「‥どうしました?」

「杏寿郎さんのこと‥守れなくて‥ごめんね」

その言葉に、千寿郎さんは

「ナオさんが謝ることではありません。兄上は常日頃から責務を全うすることを何よりも大切にしていました。その信念を貫き、心を燃やし戦った兄上を‥僕は誇りに思います」

と言って笑った。

「‥うん。私も‥杏寿郎さんを誇りに思う‥」

今はまだ寂しくてどうしようもないけれど。その気持ちを、もう隠そうとは思わない。

「‥ナオさん、父上から、ナオさんの目が覚めたら部屋まで連れてくるように言付かっています。‥行けますか?」

千寿郎さんはそう言って、心配そうに私の顔を覗き込む。

「‥うん。大丈夫。いずれ‥話さなきゃとずっと思ったから。‥でも槇寿郎様‥何かあったの?昨日までと‥ちょっと雰囲気がちがう気がするんだけど‥」

あの槇寿郎様が、酒を買いに行く以外ほとんど部屋から出てこなかった槇寿郎様が、まさか私を助けてくれるなんて。今でもあれは夢だったんじゃないかと思う。でも確かにあの温もりは本物だった。

「‥炭治郎さんが‥兄上の残した言葉を伝えに来てくれたんです」

「‥っ炭治郎くんが‥?」

炭治郎くんは怪我も酷くて、まだ安静にしていなくてはダメだったはず。きっと怪我を押して来てくれたんだろう。

「‥身体を大切にして欲しい‥兄上らしい言葉ですね」

「‥うん。そうだね」

きっと杏寿郎さんのその言葉が、槇寿郎様の心に届いたのだろう。
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