• テキストサイズ

暖かく和やかに【鬼滅の刃】【煉獄さん】

第9章 火が灯るその日まで


「不死川」

蛇柱様、伊黒様は不死川様の肩にポンと手を置いた。

「‥なんだぁ」

不死川様は相変わらず怒っているようだが、伊黒様には比較的落ち着いた様子で返事を返している。

そういえば以前、杏寿郎さんが「小芭内と不死川は同年齢らしい!気も合うようでうらやましい!」なんて言っていた覚えがある。

「‥そいつは杏寿郎の大事な細君。すまないが、今回だけは俺の顔に免じて許してやってはもらえないだろうか?」

不死川様は伊黒様の言葉が相当意外だったのか、釣り上がった目を見開き固まっている。私も私で伊黒様がまさかそんな事を言ってくれるとは少しも思っていなかったため、目の縁からこぼれ落ちそうになっていた涙が引っ込んだ。蜜璃ちゃんはというと、流石にこの状況なのでキュンッとはしていないが「伊黒さん‥っ!」と感激の涙を流しているようだ。

我に帰った不死川様は額に青筋を浮かべ伊黒様を睨みつける。

「何テメェまで甘っちょろいこと言ってやがる。気でも狂ったかぁ?」

伊黒様は不死川様のその物言いに少しもたじろぐ様子もなく

「杏寿郎は‥そして煉獄家は俺にとって皆恩人。今の俺があるのは杏寿郎や父君あってこそ。その恩人が、友が大切にしていた者が苦しんでいるのを見過ごす事は出来ない」

と言った。

その言葉に、不死川様も、そして誰も何も言わなかった。





「実弥。私も小芭内と同じ考えだ。実弥が柱という責任ある立場上、どうしても厳しくなってしまうこともわかっているよ。その責任感も鬼殺隊にとって必要なことだね。でも今回の件に関しては、もう少し待って欲しいと思っている。私は出来るだけ杏寿郎を亡くしたナオの気持ちに寄り添ってあげたい。今回ナオをみんなの前に呼んだのは、ナオの意思を確認する事はもちろんみんなにも、ナオの決心がつくまで待ってもらいたいと思ったからなんだ」

お館様は何てお優しい方なんだろう。私の気持ちを、立場を考えた上でこの場を設けてくれていたのか。この場に私を呼んだお館様に「なんでこんな騙すような事を」、と一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしかった。目の前の責務から逃げようとしているのは、私なのに。

「ナオ」

「‥はい」

「次の柱合会議の際、もう一度ナオの意志を聞かせてもらいたい。それで良いかな?」
/ 391ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp