第2章 青から赤へ
「はい良いわよ。問題なさそうね」
昨日と同様、脈、血圧、胸の音を確認される。
「あと1日様子を見てまた問題がなければ軽めの機能回復訓練から始めてみましょうか」
「はい。よろしくお願いします」
じっとしているとどうしても色々考えてしまうので、少しでも身体を動かせることはとても嬉しい。
「ところで煉獄家のご子息の件なんだけど‥」
カナエ様の手、剣を握ってるのに女性らしくて綺麗だなぁなんてじーっと見ていた私はその言葉にバッと顔を上げ、カナエ様の顔を凝視してしまう。
「あらあら。その顔はすっかり忘れてたって顔ね」
クスクスとカナエ様が笑う。
「‥おっしゃる通りです」
「まぁナオさん病み上がりだものね。それで、その御子息の件なんだけど烏を飛ばしたらすぐに返事が来てね‥今日任務を終えたら直接こっちに来るそうよ」
え?今日?これから?
「あらあらー、瞳が零れ落ちそうよー」
今日来るんですか?ええそうね。
昨日烏を飛ばしたんですよね?ええそうね。
私昨日目が覚めたばっかりなんですけど。ええそうね。
カナエ様と私の意味のないやり取りが続く。
「‥理解し難い」
「まぁまぁ取って食われるわけじゃないし、行動力があるって素敵なことよね」
ニコニコとカナエ様は綺麗な笑顔を浮かべている。
「‥なんか楽しんでいませんか?」
思わずカナエ様をジトーッと見る。
「そんなことないと言えば嘘になるかしら」
「もう!他人事だと思って!カナエ様ひどいですっ!」
「ごめんなさいねー。慌てる貴方がとても可愛らしくて」
カナエ様の方が私の何百倍も可愛いですー!心の中の私が絶叫していた。
「それじゃあまた」
私をからかい終えたカナエ様は次の診察へと向かっていった。再び部屋に1人になった私は煉獄家の御子息様がいつ来るのだろうかとソワソワソワソワ落ち着かない。もういっそのこと寝てしまおうかとも思ったが残念ながら私はそこまでの図太さを持ち合わせていない。
「しのぶさんに許可を取ってまた縁側に居させてもらおう」
そう結論に至った私はしのぶさんのところまで行き、無事に部屋を出る許可を得て、ついでに私でも理解が出来そうなかなり初級の医学書を借りることに成功した。これでなんとか気を紛らわすことが出来るし、応急処置の勉強もできる。一石二鳥だ。