第8章 燃え尽きる
杏寿郎さんは私の意を汲んでくれたようで、呼吸を整えているのが横目に伺う事ができた。
これできっと少しは回復できるはず‥っ!
上弦ノ参は私の攻撃を受け止めたり避けるばかりで、向こうからはほとんど攻撃をしてこない。してきたとしても、杏寿郎さんに対してとは違い致命的になりそうな攻撃はほとんどなかった。
‥なんなのこいつ?私を舐めて掛かっているだけ?
私は困惑し、上弦ノ参は相当イライラしていた。
「っ時間の無駄だ!いい加減そこを退け!」
「どかない!炎の呼吸肆ノ型盛炎のうねり‼︎」
ズキっ!
酷使しすぎたのか、肺が再び痛みだし脚が一瞬止まった。上弦ノ参はその隙を見逃してはくれず首に手刀を叩き込まれる。
「‥ガッ!」
「ナオ!」
意識を失いそうになるがなんとか堪え、再び上弦ノ参に切り掛かるべくじっと睨みつけた。
「っしつこい!」
けれどもすぐ鳩尾に強烈な打撃をくらいとうとう私は意識を手放してしまった。
轟音で目が覚めた。
バッと起き上がり音のした方に目を向ける。
「‥っ!」
そこに見えたのは、鳩尾あたりを上弦ノ参の腕に貫通させられた杏寿郎さんの姿。
サッと体温が下がり、涙が込み上げて来る。
嫌‥杏寿郎さんが‥死んじゃう‥。
私が諦めかけたその時、杏寿郎さんはグッと腕に力を込め上弦ノ参の頸に刀を叩き込んだ。私の心はもう殆ど折れていたのに、杏寿郎さんは例え腹を貫通させられても上弦ノ参の頸を切ることを諦めてはいなかった。
だめ!杏寿郎さんはまだ戦ってる!立って!戦わなきゃ!
グッと刀を握る手に力を込め、私も再び跳躍し杏寿郎さんが切り落とそうとしている反対側から刀を叩き込む。
「ッグァ!!」
上弦ノ参、猗窩座の呻き声が聞こえる。杏寿郎さんも私も決して手を緩めない。
辺りがほんの少し白み始め、朝が近いことを告げている。
あと少し!もう少し耐えればこいつを倒せる!
猗窩座は夜が明け始めた方に気づいたのか、腕を引き抜き逃げようとしていた。けれど、杏寿郎さんがそれを許さない。筋肉で腕を締め、決してそれが抜けることを許さない。
「退けぇぇぇ!」
「おおおおお!」
杏寿郎さんの必死の声に応えるように、私も持てる力の全てを刀に込める。
「伊之助動けー!煉獄さんのために動けー!」
炭治郎くんの叫びも聞こえる。