第8章 燃え尽きる
そう来たか。
「‥っやっぱり‥わかります?」
お咎めなしで済まないかな、と言う気持ちを込めて少し甘えたような声を出してみる。
「うむ!わからないわけがないだろう!帰ったらまた説教だな!」
やはりだめか。
「‥お手柔らかにお願いします」
「それはナオ次第だな!おしゃべりはこの辺にしよう!俺は竈門少年と猪頭少年の様子を見て来る。君は黄色い少年と竈門妹を見てきてくれ!」
「はい!わかりました!」
杏寿郎さんは私の返事を聞くや否やあっという間にいなくなってしまった。
善逸くんと禰󠄀豆子ちゃんは‥確かもう少し前の車両にいたはず。
私は各車両の乗客の様子を確認しながら2人を探した。そしてしばらく探していると、目立つ黄色い頭を見つける。善逸くんは禰󠄀豆子ちゃんと、子どもとその母親と思われる女性を抱えるように倒れていた。善逸くんの胸に手をあて呼吸と脈の様子を確認すると、特に異常は確認できず、ただ気絶しているだけのようでホッとする。
自分はこんなに傷だらけなのに‥やっぱり善逸くんは思った通りすごく優しい子なんだな。目が覚めたら沢山褒めてあげよう。
そう思い善逸くんたちを寝転がりやすい場所に移動させようと、抱き上げようとしたその時
「‥っ!?」
今まで感じたことのない禍々しい気配が先頭車両の方に突如として現れた。
あっちには‥杏寿郎さん達が‥!
救護班は既に呼んである。善逸くん達は私がそばに居なくても大丈夫だと判断し、私は肺が痛むのも忘れ先頭車両へと急ぎ走った。
‥早く!っ早く行かなきゃ!
「杏寿郎さんっ!」
杏寿郎さんに走り寄ろうとした私の脚は完全に停止した。杏寿郎さんは怪我で動けなくなっていると思われる炭治郎くんを庇うように立っており、その先には"上弦の参"と瞳に刻まれた鬼がいた。
どうして‥今ここに上弦がいるの‥?
猗窩座と名乗るその鬼は、杏寿郎さんにお前も鬼になれと誘っている。信じられない、いや、信じたくない光景に私の手は小刻みに震える。
私はさっき水の呼吸を使ってしまったから‥上弦と戦う余力なんてない。杏寿郎さんだって‥あんなにも沢山技を使っていたから疲れていないはずがない。炭治郎くんも伊之助くんも‥上弦と戦える体力も‥実力もない。‥何で今なの‥?
私の気持ちは完全に上弦の気配に飲み込まれていた。