第8章 燃え尽きる
次から次へと乗客に伸びる触手をいち早く切り落とし、ひたすら攻撃を続ける。杏寿郎さんが、みんながどうしているかはわからないが私に出来ることは、みんなを信じる事のみ。
杏寿郎さんの口ぶりから乗客を守っているのが杏寿郎さん、善逸くん、禰󠄀豆子ちゃん、そして私と言うことはわかった。だからきっと、炭治郎くんと伊之助くんが鬼の頸を切ってくれるはず。
神経を研ぎ澄ませろ。誰一人殺させやしない。
ぎゃーっ!!!!
物凄い叫び声と共に車両が横転し始める。きっと炭治郎くんか伊之助くんが鬼の頸を切ったのだろう。
このまま倒れてしまったら乗客の命が危ない。横転の勢いを‥少しでも減らさなきゃ。
今取れる最善の策は何か。一つしか思い浮かばなかった。でもきっとまた杏寿郎さんに叱られてしまうな、と内心苦笑いをしつつ少しの迷いも無く深く呼吸をする。
シィーーーーー。
「水の呼吸弐の型水車」
列車の横転する方向とは逆向きに技を放ち、グルグルと勢いよく何度も回転をする。段々と肺が苦しくなり、痛みも感じて来た。それでも止まれない。少し先の車両では杏寿郎さんが沢山の型を駆使し、同じように横転の勢いを殺そうとしているのも感じる。
お願い‥っ!早く止まって!
ギィィィッとけたたましい音を立て、列車はようやく止まった。私はゆっくりと回転をやめ、辺りに倒れている乗客の様子を確認する。
血鬼術で眠りに落ちたいた事が功を奏したのか、そこまでパニックになっている様子は見られない。ほとんどの人が怪我を負っているものの重傷者がいる様子も見られない。
扉は歪んだいて開きそうにないので、なるべく人のいない場所を選び窓を割る。外に手出て周りを見渡すと杏寿郎さんの姿が目に入った。
「っ杏寿郎さん!」
私に気づいた杏寿郎さんが、こちらに近づいて来る。思わず任務中にもかかわらず、その身体に抱きつくと、杏寿郎さんもギュッと抱き返してくれた。
「ナオ。君ならきっと無事だと信じていた」
「‥私も、杏寿郎さんならきっとみんなを助けてくれるって‥信じていました」
杏寿郎さんの温もりを感じその胸に擦り寄る。
「‥ナオ」
「‥はい」
てっきり甘い言葉でも囁いてもらえるものだと思っていた。けれど
「君はまた俺との約束を破ったようだな!」