第8章 燃え尽きる
「まぁどちらにしろ、私も杏寿郎さんに稽古をつけてもらうようになってそれまでの自分の鍛錬がいかに甘かったかを知ったの。だからどの呼吸を使うにしろ、強い師範の元で鍛えてもらう事が強くなるための1番な近道じゃないかな」
「うむ!ナオは元々才能もあったが、それ以上に努力家だった。君も俺のところで鍛えてあげよう!もう安心だ!」
そう高らかに言う杏寿郎さんに炭治郎くんは「いや!何処を見ているんですか!?」と戸惑っている風ではあったが、私には間違いなく2人はいい師弟関係になるようなそんな確信めいたものも感じていた。
もし‥私に赤ちゃんが出来て杏寿郎さんと一緒に戦えなくなっても‥炭治郎くんみたいな子が杏寿郎さんのそばに居てくれれば‥。
そんな自分本位な考えが一瞬頭をよぎる。
‥っだめだめ。そんな自分勝手な考え。他力本願なんて1番嫌いだったはず!
最近の幸せ具合のせいで気が緩んでいるのかもしれない。私は杏寿郎さんや炭治郎くんにバレないように、自分の腕をギュッと力いっぱいつねった。
杏寿郎さんは私の世界で1番大切な人。なんのために強くなったと思ってるの。私が自分の手で守らなきゃ。
私がそんなことを悶々と考えている間に車掌さんがやってきており、みんなの切符を切っていた。私も他のみんなにならい、切符を差し出しパチンと切れ込みを入れてもらう。
「拝見‥しました」
「ナオさん?大丈夫ですか?そんなところで寝ていると風邪を引いてしまいますよ」
バッと意識が浮上する。
‥ここは煉獄家?
私は‥任務で列車に乗っていたはずじゃあ‥?
「‥どうかされましたか?」
不安そうに私を覗き込む千寿郎さん。
「‥うぅん!何でもないの‥少し寝ぼけてたみたい」
「そうですか?間もなく兄上も戻ってくると思うので、お茶でも飲んで待ちましょう」
「そうだね。私も一緒に準備させて」
きっと任務に行く夢でも見ていたのだろうと。
そう結論づけ、私は千寿郎さんと共に台所へと向かった。
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「そう言えば杏寿郎さんはどこに行ったの?」
準備したお茶とお茶菓子をお盆に乗せ縁側へと千寿郎さんと並んで歩く。
「兄上は今父上と街に行っておられます」
「え‥?槇寿郎様とお二人でですか?」
そんな事が‥今までにあっただろうか。