第8章 燃え尽きる
「うむ!ではこの話はもう終いだな!で、その箱が?」
「はい!妹の禰󠄀豆子です」
「そうか。お館様がお認めになったこと。今は何も言うまい」
杏寿郎さんのこうやって気持ちを引きずらず、さっと切り替えられるところも好き。一緒にいればいる程、私は杏寿郎さんのことをよりいっそう好きになる。
はぁ。やっぱり素敵。大好き。
そんな場にそぐわない事を思っていると、視線を感じ、そちらの方に目を向けると善逸くんが私のことをじっと見ていた。
‥なんだろう。
やましい気持ちでも見透かされていたようで、何とも恥ずかしい。
「ここに座ると良い」
杏寿郎さんは炭治郎くんに隣に座るよう、座席をポンポンと叩き誘った。
炭治郎くんは杏寿郎さんに聞きたい事があったらしく、勝手に聞いてしまうのも悪いなと思い私は2人の話の邪魔にならないよう道を挟んで隣にいる善逸くんと伊之助くんの方へ移動した。
「よいしょ。お邪魔させてもらうね」
「はい!喜んで!」
伊之助くんはビュンビュン動く外の景色に夢中なようで窓に張り付き外をじっと見ている。
「‥善逸くん、さっき私のことじっと見ていたみたいだけど‥どうかした?」
私にはさっきの善逸くんの目が、何か聞きたそうな目に見えた。
「‥俺のこと嫌いになりませんか?」
善逸くんは不安気に私のことをチラリと見上げている。善逸くんがどうしてそんなふうに聞いてくるのか私にはわからなかった。でも
「ならないよ。善逸くんがとっても優しい子だって私にはわかるもん」
そう言って微笑むと、とても安心したように見えた。
「‥俺、実はすごく耳が良くて‥その人が出す音で、その人がどう思ってるとかなんとなく分かっちゃうんです」
そんな事が‥あるのか。あ、でもそう言えばカナヲちゃんも人よりもかなり目がいいって言っていた気がする。それに‥人の気持ちがわかってしまうなんて‥決して良いことばかりではない気がする。知りたくないことを知ってしまったり、嫌な思いだってたくさんしてきたんだと思う。
「そっか。だから‥善逸くんは優しいんだね」
善逸くんは私のその言葉が意外だったのか、目を見開き驚いている。
「嫌いになんてならないよ。そんなこと絶対ない!」
「‥ありがとうございます。ナオさんはやっぱり強くて優しい人だ!それに‥すごく愛情深い音がしたんです」
