第8章 燃え尽きる
「この3人とは知り合いなのか?」
恐る恐る杏寿郎さんの方を見ると、いつもの表情に戻っていた。けれど、その奥に‥怒っている雰囲気が見え隠れしている。
「は、はい。この間‥蝶屋敷で‥しのぶさんに頼まれて‥機能回復訓練を‥手伝いました」
「そうか。しかし、そんな報告は受けた覚えはないが?」
「‥っすみません。報告するようなことでもないと思って‥」
私はなぜ杏寿郎さんがこんなにも怒っているのかわからなかった。蝶屋敷で手伝うことも、後輩の助けになることも杏寿郎さんは進んでやるように言ってくれていた。なのに‥なぜ。
この重苦しい空気を一刻も早く何とかしたい。その焦りから、余計に私の頭は回ってくれない。
「君は、俺が何に腹を立てているかわかっていないようだな」
「‥すみません」
理由が知りたくて、そして機嫌を直して欲しくて私は伺うように杏寿郎さんの目をじっと見つめた。
「うむ!でははっきり伝えておこう。俺は君が思っている以上に嫉妬深い。たとえ君にその気がないと分かっていても、相手が歳下であろうと嫌なものは嫌だ。だから今後、俺の知らないところで知らない男と知り合った時は必ずし報告して欲しい」
スッと細められた目に、一瞬"炎柱"ではない"煉獄杏寿郎"の顔が見えた気がした。その目にとことん弱い私は赤面し、力無く「‥はい」と答えることしかできなかった。
「うむ!わかればそれで良い!君たちも、彼女は俺の継子であり妻だ!慕ってくれるのは嬉しいが、あまり距離を詰めすぎないでもらえるよう気をつけて欲しい」
杏寿郎さんのその言葉に
「はい!わかりました!」
「え!?継子!?妻!?そんな話俺聞いてない!‥待ってよ。じゃあ俺の首を狩る赤毛の虎って‥‥イヤー!!!!」
「お前が雌虎の番か」
などと、三者三様の反応を見せていた。まだ妻じゃないけど。
まさか杏寿郎さんより、そして私よりかなり歳下の男の子達に嫉妬するなんて。以前の村田さんの件ならともかく、全くの想定外だった。次からはもっと気をつけなくちゃな。それにしても‥この3人にまで嫉妬するなんて‥ちょっと嬉しいかも。そんなこと言ったらまた杏寿郎さんに怒られそうだけど。
嫉妬する=愛されている訳ではないけれど、そして怯えた様子の3人には申し訳なかったが、私はその杏寿郎さんの独占欲がたまらなく愛おしくて嬉しかった。
