第7章 幸せに手が届く
杏寿郎さんがお館様より直接、無限列車という列車に乗り込み鬼を討伐せよと任務を受けた。十二鬼月の可能性もあり、恐らく危険な任務になるそうだ。けれど、それを終えれば杏寿郎さんとの結婚が待っている。情報収集にしばらく時間を要する為、実際にその任務に就くのは2日程後となるそうだ。
私はその為の準備と、しのぶさんへ火傷がほとんど残らなかったお礼をするのと兼ねて蝶屋敷へと来ていた。
「こんにちは」
玄関を開け奥まで聞こえるように少し大きめに挨拶するとパタパタとこちらに近づいてくる足音が一つ。
「ナオさん、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
「こんにちはすみちゃん。しのぶさんと会う約束をしているんだけどいるかな?」
「はい!伺っております!こちらへどうぞ」
そう言ってすみちゃんは私を蝶屋敷の奥の方へと案内してくれる。
こっちには道場しかなかったはず‥しのぶさんは道場にいるのかな?
「しのぶさま!ナオさんをお連れしました!」
やはり到着したのは道場だった。
「ありがとうすみ。ナオさんこんにちは」
「こんにちは、しのぶさん」
そこにはしのぶさん以外に、なほちゃん、きよちゃん、アオイちゃん、そしてカナオちゃんもいた。それに初めて会う‥まだ男の子?と言った方が良いのかな?3人の隊士。
「先日はありがとうございました。あと今日はこれのお礼も言いたくて」
綺麗になったのをしのぶさんに見せたくて、ザッと隊服の裾を引っ張り、火傷の跡を見せる。黄色い頭の男の子が、何やら汚い高音で叫んでいるが‥まぁ良いか。
「あらあら。思った通り少し跡が残ったようですがかなり綺麗になりましたね。本当によかったです。‥ただ」
そう言ってしのぶさんはこちらに近づいて来たかと思うと、私が引っ張り上げていた裾をグイッと引き下げる。
「そんな風に足を出すのは良くありませんね。煉獄さんに叱られてしまいますよ」
彼らも一応男性ですから、と。
‥確かに。杏寿郎さんがもしここに居たら‥きっと怒られていただろう。
「‥すみません」
杏寿郎さんの妻として次からはもっと気をつけないといけないな、と流石に反省した。
「いいえ。ナオさんの事となると煉獄さんも中々見境がなくなるので」
そう言って笑みを浮かべるしのぶさんに、なんだか恥ずかしくなる。