第7章 幸せに手が届く
なんて願ってもない申出だろうか。わざわざ私の為に手を煩わすのもいかがなものかと思いはしたが、裁判中に私がいても邪魔になるだけだし、正直言ってここに到着してから今までのやり取りで大分疲れた。
「面倒でなければ、是非ともお願いします」
「うむ!裁判の時間もどの程度かかるかわからない!部屋で待たれてもらえるのであればその方が良いな!」
杏寿郎さんもそう言っていることだし、私は柱の皆さんに「それでは、後程またよろしくお願いいたします」と一言残し、部屋まで案内をしてくれると言う隠の後に続いた。
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私がいない間に、いったい何があったのか。場の空気は明らかにピリついているし、風柱様は顔と腕に血がついてるし、お庭にも結構な量の血痕がある。
裁判って‥話し合うものじゃないの?斬り合いなの?というかこの空気の中挨拶しろって言うの?
殺伐とした雰囲気と、柱たちの圧に完全にやられた私は半分涙目で少し遠くに座っている杏寿郎さんを見る。杏寿郎さんは私のそんな様子に気づいたのか、お館様に許可を得て私の方まで来てくれた。
「大丈夫か?怯える必要はない!皆気の良い者たちばかりだ!」
そう思っているのはきっとこの場で杏寿郎さんひとりです‥なんて口が裂けても言えない。けれども、いつまでも怯えていたら杏寿郎さんの婚約者‥妻として恥ずかしい。私はパチンッと自分の両頬をその手で叩いた。
「すみません。もう大丈夫です!」
「うむ!では行くぞ!」
歩き出した杏寿郎さんの背中を追う。杏寿郎さんは柱の皆さんが横一列に並ぶ1番端に行き、先程までのようにお館様の前に跪く。私もそれに習い杏寿郎さんの隣まで行き跪いた。
「ナオ待たせてすまなかったね」
「いいえ。とんでもございません」
「杏寿郎とナオの報告の邪魔はしたくなかったのだけど、どうしても急いで話し合う必要ができてね」
「いいえ!俺たちはこう言った場を設けていただけただけで十分!」
「杏寿郎様の言う通りです。貴重な柱合会議の時間を割いていただき、感謝の言葉もございません」
「ありがとう。では、本題に入らせてもらおう。この度、杏寿郎とその継子ナオの結婚が決まった。鬼との戦いの日々の中で、こんな素晴らしい報告が聞けるのはとても幸せなことだ」