第7章 幸せに手が届く
「‥千寿郎さん!柏木ナオ!男らしく腹を括って行ってまいります!」
千寿郎さんは私のその言葉にフフッと笑い
「ナオさんは兄上の大事な婚約者です。男になられては困ります」
っといつも以上に眉を下げて言った。
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杏寿郎さんに目隠しをされ、背中におぶわれお館様の屋敷に向かった。杏寿郎さんは初め、私を横抱きにしようとしていたようだが断固拒否した。他の柱に遭遇し、万が一それか風柱様だとか蛇柱さまだった場合を考えたらもう恐ろしすぎて気絶してしまう。そんな理由で拒否したが、逞しくて暖かい杏寿郎さんの背中にピッタリとくっついていられるなんて私にとっては幸せ以外の何でもない。
あったかくて安心する‥癖になりそう。
昨夜緊張のあまり眠れなかったのもあり、私は杏寿郎さんに運ばれながらその揺れと暖かさにウトウトしてしまい、最終的にはそのまま眠りこけてしまった。
「ナオついたぞ。そろそろ起きなさい」
杏寿郎さんの言葉にハッと急激に意識が浮上する。高速で移動していたはずなのに、そんな気配はないし、目隠しも知らぬ間に外されている。
「‥‥‥杏寿郎さん‥私‥もしかして‥」
「うむ!とてもぐっすり寝ていたな!」
嘘でしょ?
誰か、嘘だと言って。
「良く落ちなかったと感心している!」
そんなことで感心しないで欲しい。
「‥‥申し訳‥ありません‥」
「気にする事はない!昨夜眠れていなかったのだ、仕方あるまい!」
わはは!と杏寿郎さんは笑い飛ばしてくれるが、私は羞恥で頭がパンクしそうだ。
「‥穴があったら‥はいりたい‥」
「残念だがここにはない!」
わはは!と再び笑う杏寿郎さんに顔を手で覆いしゃがみ込むことしか出来なかった。
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幸い、到着したのが1番早かったので、他の柱に私の醜態を晒すことはなかった。いつまでもグズグズしていても仕方ないと、気持ちを立て直し外行きの自分に切り替える。杏寿郎さんと婚約関係になってから、中々それが下手になりつつあったが今日はそうもいかない。
裁判に一般隊士に過ぎない私が同席して良いものかと思ったが、かと言って他に待っている場所があるわけでは無いので私は杏寿郎さんから少し離れたところで待機させてもらっていた。