第7章 幸せに手が届く
とうとう柱合会議の日を迎えた。私の火傷もすっかり良くなり次にある大きな任務を終えたら、私と杏寿郎さんはようやく祝言を挙げる。婚礼の衣装ももう間も無く届き、後はもうその時を待つだけだ。だがその前に最大の関門、"柱の皆様の前で挨拶"が待ち構えている。
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「‥ナオさん‥大丈夫ですか?」
私はせっかく準備してもらった食事にも手をつけられず、ガタガタ震える手を握りしめていた。
「‥千寿郎さん‥一生のお願いです‥一緒に来てくださいっ!」
自分の手を握りしめていた手を離し、今度は千寿郎さんの手を握りしめる。
「‥そうしてあげたいのは山々なのですが‥」
明らかに困っている。千寿郎さんはとても優しいから、こんな情けない私の姿に本当に一緒に行ってあげられたらと思ってくれているのだろう。
「こら!ナオ!千寿郎を困らせるんじゃない!」
そんな私に杏寿郎さんは呆れ返っていた。
「だって‥‥柱、怖いんですもんっ!」
「失礼な!俺は怖くない!」
「杏寿郎さんの事ではありません!」
まぁまぁ兄上、と言って千寿郎さんは私の背中をスリスリと優しくさすってくれた。これじゃあどちらが年上かわかったもんじゃない。
「もう時間だ!行くぞ!」
「え!?待ってください!予定ではまだ時間に余裕があるはずじゃあ‥」
昨日確認した時は、そう言っていたはず。だからまだグズグズと千寿郎さんに甘えていたと言うのに‥私はまだ心の準備が出来ていない。
「緊急の裁判があると知らせが入った!」
「‥裁判‥ですか?」
裁判だなんて、今まであまり聞いた事がなかった。私は不思議に思い思わず千寿郎さんの顔を見てしまったが、千寿郎さんもあまり経験のないことのようで首を傾げていた。
「うむ!鬼を連れた隊士が見つかったそうだ!明らかな隊立違反故、その真意を問い罰則、最悪処刑する!」
‥鬼を連れた隊士だなんて‥想像がつかない。意思疎通が図れ、人を襲わない‥ということだろうか。
「裁判後、挨拶の場を設けてもらう!その後柱合会議をする故時間が早まった!だからもう行くぞ!」
待って欲しいと言いたいところだが、そうわがままを言える状況じゃないことがよく分かった。ここはもう、腹を括るしかない。