第7章 幸せに手が届く
呼吸の具合が改善し、私は今日煉獄家に戻る。任務明けだし来なくて良いと何度も伝えたのに、「俺が迎えに行きたいんだ」と甘く囁かれてしまえば断れるはずもない。
「お世話になりました」
「ナオが世話になった!」
「いいえ。御婚礼の日取りが決まりましたらぜひ教えて下さい。では、お気をつけて」
「うむ!」「はい」
しのぶさんにお世話になった挨拶を済ませ、私と杏寿郎さんは煉獄家へと向かった。途中で千寿郎さんへのお土産に、美味しいお団子を購入することも忘れない。久しぶりに千寿郎さんに会える嬉しさはあっだが、それ以上に、これから槇寿郎様へのご挨拶がまた待っていると思うと緊張し、顔が強張る。
「‥そんなに緊張することはない。父上にはもう俺から報告済みだ。いつもながら"勝手にしろ"と言われてしまったがな!」
「やはり‥喜んではくれませんよね」
私の事はどうでも良い。それでも、大切な息子の結婚くらい‥素直におめでとうと言って欲し気持ちがどうしても拭えなかった。
玄関を掃き掃除している千寿郎さんが見えた。千寿郎さんは私と杏寿郎さんに気づくと、持っていた箒を門に立てかけこちらに向かって駆け出した。
「兄上!ナオさん!おかえりなさい!」
「うむ!今帰った!」
「ただいま帰りました千寿郎さん。留守にしている間千寿郎さん1人に色々やらせてしまってすみませんでした」
「そんな!謝らないで下さい!ナオさんが元気になって本当によかったです」
そう言って微笑む千寿郎さんに、私は母性本能というのか何というのか‥心をくすぐられ思わず抱き締める。
千寿郎さんは急に抱き締められたことに驚いたのか固まってしまっている。
「‥いつもありがとう‥千寿郎さん。私、これから槇寿郎様に、杏寿郎さんの妻として認めて欲しいと‥お願いしに行って来ます」
私のその言葉に反応した千寿郎さんがバッと顔を上げた。
「‥ほ、本当ですか?ナオさんが‥僕の姉上になってくれるんですか‥?」
「うむ!そうだ!姉上だ!」
いやいや。まだ許しは頂けてないんだけど。思わず杏寿郎さんを咎めるようにジッと見たが、あまりにも杏寿郎さんが嬉しそうに笑っているものだからこっちまでつられて笑ってしまう。
「‥そうなれるように、頑張ってきます!」