第7章 幸せに手が届く
バタバタと近づいて来る足音が2つ。バンッと大きな音を立てて部屋の扉が開かれた‥と思ったら
「‥グエッ!」
思わずカエルの鳴き声のような呻き声が出てしまうほどの勢いで杏寿郎さんに抱きしめられた。
「ナオ無事目覚めてよかった!君が目の前で倒れた時、俺は心臓が止まるかと思った!」
‥っく‥苦しい!
未だ呼吸が本調子でないことも相まって、杏寿郎さんの激しい抱擁に私の意識はまたしても飛んでいきそうだ。
「煉獄さん。そんなにきつく抱き締めたらナオさんが潰れてしまいます。腕を緩めて下さい」
「君はいつも無茶ばかりする!だがそんな君が俺は堪らなく愛おしい!」
‥助けて‥しのぶさん‥。
「煉獄さん、聞いてますか?‥‥‥出禁にしますよ?」
しのぶさんのその言葉に、パッと杏寿郎さんの身体は離れて行った。
「‥‥‥助かった‥‥」
「すまない!嬉しくてつい力の加減を誤った!」
口では謝罪をしているが、私にはまったく悪いと思っているようには見えず、思わずジトリと睨む。
「では早速ナオさんの容態について説明させていただきます。呼吸の方は回復するまでもうしばらくかかります。けれど治ってしまえばこちらは何も問題ありません」
「うむ!それは良かった!」
「問題は、足の火傷の方です。残念ですがこちらは跡が残るでしょう。なるべく目立たなくなるよう塗り薬を調合しますが、それにも限界があります。必ず毎日、塗るようにしてください。きちんと塗れば塗るほど、傷は目立たなくなるなるはずです」
「相分かった!必ず塗ろう!」
杏寿郎さんの返事に思わずギョッとする。
「え!?まさか杏寿郎さんが塗るつもりじゃないですよね?」
「む!何か問題あるだろうか?」
このお方は何を言っているのだろうか。
「問題大ありですよ!自分でやれますので杏寿郎さんは何もしないでください!」
杏寿郎さんはムッしたかと思うと、いつも以上に大きな声で
「怪我を負った妻の面倒を見ることの何が悪い!!!」
と言い放った。
それはもう蝶屋敷中に聞こえるんじゃないかと言う大きさで。
「あら?お二人ようやくご結婚なさるんですか?」
その問いに対して杏寿郎さんは
「うむ!ナオの怪我が治ったらすぐにでもと思っている!」
「それはそれは、おめでとうございます」