第7章 幸せに手が届く
下弦ノ陸を倒したんだ。階級が上がることは間違いなさそうだが、果たしてこんな傷を負って‥杏寿郎さんがなんと思うか。
はぁ。と思わずため息が漏れる。
「あらあら、大きな溜息ですね。扉の向こうまで聞こえてきましたよ」
しのぶさんが聴診器と、薬と思われる箱を持ってやってきた。
「聞こえてしまいましたか?すみません‥」
「あなたはいつも謝ってばかりですね。それでは、まずは胸の音を聞かせて下さい」
しのぶさんは私の胸に聴診器を当てる。吸って、吐いて。
「呼吸の音が、まだ少しおかしいですね。肺をかなり酷使した様に思われますがどうしたのですか?」
「‥杏寿郎さんには内緒でお願いしますね。‥水の呼吸を‥久々に使いまして、それが身体に馴染まなかったみたいで」
明らかに自分が悪いのがわかっているので、どうしても歯切れの悪い回答になってしまう。
「あらあら。身体に馴染まない呼吸を無理に使うと大きな負担になる場合もあります。あまり無茶はなさらない様にお願いしますね。でないと次こそ煉獄さんが蝶屋敷の門を壊しかねません」
成る程。私は杏寿郎さんの手によってここまで運ばれたのか。
「ナオさんの目が覚めたと烏は飛ばしましたので、そのうちここに来るかと思います。しっかり煉獄さんに叱られることですね」
しのぶさんのその言葉に私は驚き焦った。
「え?私杏寿郎さんに叱られなくちゃならないんですか‥?」
「まぁあれだけ心配をかけたのですから、少しくらい怒られた方が宜しいかと。足の火傷については、煉獄さんがとても気にされていたので、煉獄さんが到着してからお話ししようと思うのですが‥事前に聞いた方が良いのであれば説明しますがどうされますか?」
わざわざそう言うと言うことは、やはり跡は相当残るのだろう。
「‥いいえ。二度手間になりますし、杏寿郎さんが来てから‥一緒に聞きます」
「わかりました。では煉獄さんが来てから「失礼する!胡蝶はいるだろうか!」」
思わずしのぶさんと目を合わせる。
「‥早すぎですね」
しのぶさんの額に若干の青筋が立っていたことはこの際気づかなかったことにしよう。
「少し待っていてください」
「はい」
そう言って杏寿郎さんを迎えに出て行った。
‥本当に怒られたらどうしよう、と一抹の不安を抱えながらわたしは2人が戻って来るのを待った。
