第1章 終わりと始まり
ハナエさん‥遅くなってごめんね。
やっと‥仇撃ったよ。
心の中で呟く。持てる力の限り出した技の勢いは止まらず、そのまま大木にぶつかるのを覚悟した。
痛そうだなぁ。下手したらそのまま死ぬかも。でも仇が撃てたからもういいや。
目を瞑りそんな諦めの気持ちを抱きながら、身体に衝撃が訪れるのを待つ。
ドンッ。
‥あれ?思ったよりも痛くない‥?
確かに何かにぶつかった感じはしたが、それは予想していた痛みとは違い傷に響きはしたもののそこまで痛くは無かった。それにぶつかったと言うよりは"抱き止められた“と言う感覚の方が近い気がする。けれども身体はもう限界で重たい目を少し開けるのがやっと。
「‥木‥じゃない‥」
見えたのは自分が着ているものと同じ隊服と自分を抱き止めてくれたであろう力強い腕。最後の力を振り絞り目線を上にあげると、目に入ったのは毛先の赤い黄色い派手な髪。助けが来たんだと理解すると安心したのか意識が遠のき始める。
ふとその時頭に浮かんだのはあの日の美しい夕焼けだった。
この人の髪、あの日の夕焼けと似てる。すごく‥暖かいな‥‥。
そんなことを思いながら私の意識はとうとうプツリと途切れた。