第6章 熱に焼かれる
数日後。久々の単独任務。無事鬼の頸を切り終えたが、戦闘で荒らしてしまった場所が多く、事後処理を手伝ってから帰ろうと隠の到着を待っていた。
「あ!柏木さん!」
聞き覚えのある声に振り返ると、やはりあの時、私を気遣ってくれた女性の隠だった。
「あなたはあの時の。あの時は急に帰ってしまってすみませんでした‥」
彼女は私のその言葉に、「イヤイヤとんでもない」と手をブンブン振りながら恐縮している。
「本来事後処理は私たち隠のみでする事。柏木さんはいつもご好意で手伝って頂いておりますが、隊士の方に、ましてや炎柱の継子にそんなことしてもらう必要なんてないんです」
「‥私が好きでやらせてもらってるんです。私は何度も、貴方達の働きに助けてともらいました。これまで死なずにやってこれたのも、事前に鬼や土地の情報を頂けたお陰なんです。だから‥これからもやらせてください」
「‥そう言ってもらえて凄く嬉しいです。ありがとうございます」
そう言って彼女は目元を緩ませた。
「‥ところで、あれから炎柱様とは‥」
恐る恐る訪ねてくる様子に、やはり聞かれるよな‥と内心苦笑いしながらも隠さず答える。
「ちゃんと、仲直り出来ました」
なんなら以前より更に関係は深まったと思う。
「はぁ‥。良かったです。あの後、柏木さんがいなくなった後実は大変だったんですよ‥」
はて、それは初耳だ。よく考えたみたら、あの後私が逃げ出した後のことを杏寿郎さんは何も言ってこなかったし、今の今まで忘れてさえいた。‥それだけ、私にとってあの出来事が心を痛める出来事ではなくなったと言う証拠だろう。でもだからと言って気にならないかと言えばそうではない。
「大変だったって‥何があったんですか?」
彼女の話からすればこうだ。杏寿郎さんは私がいなくなった後、あの女性に再び迫られたらしい。邪魔者は消えた。今から私の店に来て欲しいと。けれどその行動に杏寿郎さんの堪忍袋の緒が切れた。愛する人の前で騙す様にしたくもない口付けをされ、更に邪魔者呼ばわりだ。すっと杏寿郎さんが真顔になり、その場にいた全員が周りの温度が一気に低下した様な錯覚に陥った。「今すぐ俺の前から消えてくれ。わからない様なら何度でも言おう。俺はナオ以外の女子に一切の興味はない」と言ってくれたらしい。