第6章 熱に焼かれる
予想外の反応に思わず後退りする。
「‥っえ?あの‥」
「愛するナオの恩人は俺の恩人も同じ!感謝こそすれよもやあんな態度をとってしまうとは‥面目ない!」
そうして再び「何故あの時言ってくれなかったのか‥!」と、とても悔しそうに言った。
いやだって。杏寿郎さんあの時、急に現れて、その時はもう既に怒ってて、思いっきり村田さんに威嚇する様な行動をして、私が弁明する余地もないまま村田さんを追っ払ったのではないか(村田さんが勝手にいなくなったと言えばまぁその通りなんだが)。
そう思ったものの、杏寿郎さんがあまりにも悔しそうな顔をしているから言うのをやめた。言ったら更に自分を責めそうだから。
「うむ!ならば3人で食事をしよう!」
「‥っえ?何で今の流れでそうなるんですか?」
「何でも何もない!君と2人きりでとなるとやはり恩人とは言え許容出来ないが、俺もいるとあらば何の問題もあるまい!」
「いやでも‥」
「遠慮する事はない!将来の伴侶として当然のことだ!」
ダメだ。話が通じない。あの時の村田さんの怯えた顔が頭に浮かぶ。あの様子では杏寿郎さんから食事の誘いが来たとあれば卒倒しかねない。
「うむ!それが良い!早速烏を飛ばそう」
そう言って要を呼び寄せようとする杏寿郎さんを必死で止める。もう正直に言うしかない。
「いやでも!村田さん、杏寿郎さんから突然食事の誘いなんか来たら驚いて倒れてしまいます!」
「む!そんなことはないだろう!」
「そんなことあるんです!柱である杏寿郎さんには分からないかと思いますが、私たち一般隊士にとって柱は雲の上の存在です!一緒に食事なんて‥恐ろしくて無理です!」
私のその言葉に杏寿郎さんは心外だとも言いた気な顔をしている。
「私がもし、もしですよ!音柱様や風柱様に杏寿郎さんも一緒に‥とお誘いがあったとしても絶対に行けません!行きたくありません!」
「なぜだ!俺は同僚に愛する彼女を会わせ自慢したい!」
‥ダメだ。やはり話が通じない。
私は再び心の中で「村田さん、ごめんなさい」と謝罪し、飛び去って行く要を見送ることしかできなかった。
すぐに村田さんの烏から丁重なお断りの連絡が来た。しかし杏寿郎さんは中々諦めてくれず、その後も何度もお誘いの連絡を飛ばし、終いには村田さんの烏が泣きながら私の元に飛んできたのだった。
