第6章 熱に焼かれる
「ナオ、起きなさい」
まだ眠い。怠くて起きられない。
「千寿郎がそろそろ戻ってくる時間だ」
千寿郎さんが‥帰ってくる?その言葉に私の意識は一気に浮上し、バッと上半身を起こす。
「うむ!ようやく起きたか!しかし君のその格好は目の毒だ!早く隠してくれると助かる!」
何のことだと自分の身体を見ると‥何も身に纏って居らず杏寿郎さんから全て丸見えだった。思わず手で乳房を隠し、すでに隊服を身に纏いしゃがんでこちらを見下ろす杏寿郎さんを恐る恐る見上げた。
「それはそれでそそられる!」
そんなこと言っている場合ではないだろう。
「すみませんが、そこにある私の隊服を取ってもらえないでしょうか‥」
ちょっと離れたところに脱ぎ捨てられた私の隊服。そう言えば杏寿郎さんに脱がされそのままポイッと放り投げられた気がする。
「うむ!」
そう言って杏寿郎さんは私の隊服を取ってくれた。けれどなかなか渡してもらえず、私はあられもない姿のままだ。
「‥っ早く下さい‥っ!」
真っ赤な顔で叫んでいたのではないだろうか。
「わはは!あまりにも眼福でな!」
奪い取る様に隊服を受け取ると、急いでそれに袖を通す。
着替えながらハタと、杏寿郎さんに村田さんとのことを弁明していないことを思い出した。誤解‥とまでは行かないが、私がただ杏寿郎さん以外の男性と2人で食事に行こうとしていたとはどうしても思われたくなかった。
「あの‥杏寿郎さん」
「なんだ」
「先程の‥村田さんの事なんですが‥」
それを聞いた杏寿郎さんの眉がピクリと動く。
「私、確かに村田さんと食事に行こうとしました。でも‥言い訳と思われるかもしれませんが‥村田さんは、私の恩人なんです」
「‥恩人とは?」
「私と一緒にハナエさんを弔ってくれたのも、育手を紹介して私を鬼殺隊に導いてくれたのも先程の村田さんなんです」
杏寿郎さんは目を大きく見開き驚いている。
「どうでもいい相手なら、悩む必要もなく即お断りします。でも村田さんは‥私の恩人なので‥どうしても無碍にできなくて‥」
杏寿郎さんは私の両肩をガッと掴む。
「何故もっと早く言わない!」