• テキストサイズ

片思い連鎖

第14章 夏 × 恋






トイレなんて、



戻りにくい言い訳考えしまったな


別にトイレに用なんてないのに。




適当に歩いていると、
大野くんがこちらへ歩いていた。



あれ、帰ったと思ってた。




「愛里ちゃんだ、やっほ」



ヒラヒラと手を振る大野くんに
私もヒラヒラと手を振る。


いま気づいたけど横に誰かいた。



可愛らしい顔つきだけど男の子だ
目が合うとペコッとお辞儀



「俺の弟」



内緒な、って言う大野くん



見てみれば制服は違うし、
言っちゃ悪いけど背丈も低いし。


なるほど。



中学生の弟くん、連れて来たんだ…




「嘘だよ、ふふ。騙されちゃダメじゃん
 俺のじゃなくて翔くんの弟」


「櫻井旭陽と言います」



えー…




騙す意味だよ大野くんっ!!



「翔くんが生徒会で遅くなるから、
 しばらく俺が遊んでやってたとこなの
 ところで愛里ちゃんは?」



「まあ。いろいろあってトイレと嘘ついて
 図書室を飛び出してきました」



すると大野くんは、
くしゃっと笑って「一緒に遊ぶか」って。



釣られて私も笑って頷いてしまう。




「ダメじゃん」



振り向くと、私の荷物を持った和也が
イタズラっぽく笑っていた。


ほら、と放り投げられたカバンを受け取る




「帰らないと、先生に叱られるだろ」


「そうだった」




「残念。
 旭陽、またねって言っときな」

「またね、先輩」



可愛く笑う彼



その笑顔はどこかやっぱり
櫻井先輩に似ていた。




「あ、」


「ん?図書委員の仕事?
 なら、俺が言っときましたよ〜」



スタスタ歩く和也のあとを
必死に追いかける。




「ねぇ、和「愛里はさ」




私の言葉を遮り、
和也は口を開いた






「…叶わない恋とか、
 別に諦めないって思ってますよね」



「…う、ん?」




どうしたんだろ、和也…






 
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp