第14章 夏 × 恋
受付し、完全下校時刻5分前。
生徒はほぼ帰った。
なので私は残りの作業を早く済ませ
和也と帰ることにした
「和也くんも一途だね」
「え?」
「暇そうにしながら待ってるし
先生だったらちょっかいかけちゃう」
「かけそう」
和也は昔からああいうところがある。
待つと決めたら来るまで待つから、
本気で一途だと思う。
なんで今さら、、、
「ねえ、愛里ちゃん」
「なんですか?」
「先生とデートしようよ」
それは、私をドキドキさせるのには
十分な言葉だった。
心臓が一気に早く鼓動を打つ。
ちゃんと息できてる?
顔なんか赤くない?
「…冗談やめてくださいよ」
「冗談じゃ、ないよ。本気だよ?」
振り向けば真剣な顔の先生が。
なんで、
なんで、私はこの人を好きなんだろう。
片思いでいいなんて、
そう思っていたはずなのに
嬉しいと思う自分がいる
「先生ね―――「終わった?」
そこに寝ていたはずの和也が
眠そうな目をこすりながらやって来た。
私の顔を見るなり、ギョッとした
「ど、どうしたんすか」
顔が熱かった
「考えといてね」
なんでこの人を好きなんだろうって、
私は何度も繰り返し考えた
なのに浮かぶのは、理由なんかじゃない
笑顔が、明るさが、
すべてが"羨ましい"と思った
羨ましい、なんて好きには値しないけど
でも本当に好きだ。
それだけは確信していた
「わ、私トイレ!!」
誤魔化す自分がいた
逃げたい自分がいた
期待してしまう
先生が私を好いてるなんて
そんな儚い期待を...