第14章 夏 × 恋
「……俺さぁっ、
愛里が好きなんだよ…」
ポツリと告げれた想い
一瞬、周りの音が消えた気がした。
和也が、私を好き……?!
「うそっ…「嘘じゃねえって」
「愛里が、藤瀬の事好きなんだって
そう気づいた頃に俺も気づいた
遅かったんだ…、もう無理なんだって
分かってたけど諦めきれなくて」
肩が、手が、震えてる
泣いてるんだ。
苦しかったのは、
和也も一緒だったんだって、
なんで私、同情しちゃってるんだろう
「…ツライんだって、
藤瀬のこと好きなお前見てるの…」
すべて、遅かった。
ねえ、なんでこうなるのかな
「…ごめっ、あの、わた…」
ダメだ。ダメだダメだダメだダメだダメだ。
「…はは、なんで愛里が泣いてんの」
そっと、目の前で、
私の涙を拭う和也
「ごめんね、知らなかった…
私、何も知らなかった…」
何が正しくて何が間違いなのか、
そんなことさえも分からない、
私達の青春の向かう先は
いつもまっ暗闇で、
何も見えない
「泣かないでくださいよ、愛里」
和也は、知っていた。
恋の行方なんてもの
あの日、自分の心の中に留めていた
小さな欠片を思い出しては懐かしいと想う
和也は知っていた。
愛里と藤瀬が両想い何だということも