第14章 夏 × 恋
ーーー幼い頃、
私は和也が好きだった。
それは紛れもなく片思いと言う奴で。
叶わないような、淡い恋だった
『好きな子できたの。』
『私も〜!』
『えーだれだれ?』
『和也くーん!』
『私も〜!』
なんでもない事なのに、
恋愛で盛り上がれる友達が羨ましかった
「和也、好きな子いるの?」
「はあ?関係ないじゃん」
「いいじゃん、教えてよー!」
「ほっとけよ!」
あの頃の和也は刺があって、
私への言葉にナイフみたいに
傷つけるように言う。
好きだった。
本気で、知りたかった
好きな子いるの?って、教えてほしかった
隣に居ることが当たり前じゃなかった。
いつだって、
貴方といる理由は幼馴染みでしかなかったから
和也の周りには沢山の人が居て、
男女問わず人気者。
幼馴染みなんてなければ近づけない人。