第10章 潤 × 天琉
家に着くと、俯き泣く大野くん。
横で励ますニノ。
それから女の子2人。誰だよ
「どうした?」
「やられた。あいつがさ、」
隣の女の子を見ると傷だらけで、
そう言えば、ずっと俯いてる。
何があったんだろうかと聞けば
「智の元カノが、愛里…こいつに
暴力振るったんだ。
気づいた時にはこいつ、泣いてて。
そんで……」
「そんで?なに、どうした?」
「藤瀬っつう先生とのことバラすって」
震えていた。
智も、その子も。
もう一人の女の子は許せないと呟いてた。
「ごめん、俺ん家いま親の友達来てるらしくて
こいつは親に心配かけてくないって言うし」
「それはいいよ、仕方ないし。
でも大丈夫なの?」
「わかんないです
あいつ、本気の目、してたから…」
藤瀬と何かあったんだ
この子、大丈夫なのかな
先生とのことなんてバラされたら、
きっと人たまりもない。
天琉のやつ、どこまでする気なんだ?
「…どうしよう……鳴海先生に…
迷惑かけちゃうっ…」
「愛里!大丈夫だってば!
鳴海先生とは何もないじゃん!」
「ごめん、おいらのせいだ、
ぜんぶおいらの…」
そうじゃない。
ニノは大野くんにそう言い励ます。
ぜんぶ壊す気なのか。
みんな、狂ってしまうまで
壊してしまう気なのか。
「許せねえ」
「潤、くん?」
「ぜってえ、許せねえ。」
「どこ行く気だよ!
行かせねえよ、答えによっちゃ」
「ぶん殴ってやる!!」
川辺が必死に俺をおさえる。
泣いてるやつがいる。
震えて、恐怖に怯えてるんだ。
それ見て黙ってろと言うのか?
ダメなんだよ、それじゃあ
それじゃあ、ニノが
大野くんが、彼女たちが、
ぶっ壊れておかしくなっちまうんだよ…