第10章 潤 × 天琉
『智は、私と居て楽しい?』
『楽しいよ』
『じゃあ、キスして』
『なんでそうなるのかなー。』
『イヤなの?』
『こういう流れでするキスはイヤ』
当たり前だった楽しい日常が、
1つの過ちで全てひっくり返って変わった。
何もかも、智の性格までもを
『隣の人、だれ?』
『…えっとね、』
『彼氏だよ。ね?天琉ちゃん』
『へえ。天琉は彼氏2人も居るんだね』
見たくなかった。
唇を噛み締めて、歪んだ怒りの目、
震える拳を必死に抑えるあのときの智
絡めていた手をほどいて、
無駄だって分かってるのに手をのばして
『待って!ちがうの!智!』
浮気なんて、ただの好奇心じゃない。
出来心でするようなものじゃない。
なのに、私は今頃になって分かった
浮気は、好奇心とか出来心なんかで
するようなものじゃないって。
『待たないよ。俺はもう沢山待ったよ
これ以上、何を期待して待つの?』
失ったものは、
もう二度と戻っては来ない。
『……っ…』