第6章 喧嘩 × 気持ち
愛里を追いかけるけれど、
追いつきやしない。
すれ違う人間に不思議そうに見られる。
結局、授業が始まり話しかけることはできなかった。
放課後。
愛里のところへ行くと
「鳴海先生に用があるから」
と避けられた。
なんだよ、またアイツかよ
藤瀬、藤瀬、ってなんなんだよ
「ニーノ!」
久しぶりの智が話しかけてきた
なんなんだよ、そんなにニコニコしやがって
嬉しいことでもあったのか?
「…なんですか」
「なんか、喧嘩でもした?」
ふふふ、と笑いながらそう聞いてきた
不機嫌な顔から少しだけしょんぼり
智は肩をポンポンと優しく叩いて
「まあまあ。肩の力抜いて!
とりあえず飲もーう!!ぜ?」
「なに、ぜ?って。しかも飲みません」
「えー、飲まないの?」
しばらく黙りこくる俺に、
ふふふとまた優しく笑った彼。
「飲みます。お酒なしで。」
なんだか彼とは気が合うみたい。
「当たり前でしょ」
れっつごー!と叫び、
先にテクテク歩く彼の後ろで
図書室がやけに気になってしまう自分に
ちょっとだけいらついてしまって。
ギュッと拳に力を込めた。