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片思い連鎖

第5章 片思い × スレ違い




ズキズキ痛むこの胸の痛みぐらい、
私にだって分かる。


馬鹿じゃないんだ。



恋、なんて呼ぶにはイケナイもので
loveと呼ぶには中途半端過ぎた。


でも、知らなかった。
私は貴方が好きなんて知らなかった





『藤瀬先生もようやく結婚ですかあ~』

『独身仲間が一人減りますねぇ…』

『やだなあ。まだ婚約だけですって!』




先生なんだから、仕方のないことなの。



結婚の話を聞いて
滲んできた視界にようやく泣いてるのだと
そう気づいた。


「なに泣いてんの」


「…う、るさ……」





本当は、好きだって言いたかった。



あなたの笑顔が、言葉が、仕草が、
まるで子どもみたいで可笑しくて…






「藤瀬、結婚するんですってね
 知ってました?かなり美人だって…」


「うるさいって!!!」



怒鳴りつけると黙る和也。

キュッと唇を噛み締め
小さな声で続ける。


「分かってる…、だからほっといて」






イケナイことも、
叶わないことも、



ちゃんと分かってる。




鳴海先生がその人を愛すように、
私も先生を好きだった。


言っちゃいけない。




大丈夫だ。

隠し通す自信はある。




「分かってるならなんで」






「なんで泣くんだよ!!!
 好きだったんだろ?!
 なんで隠すんだよ!ちゃんと言いなさいよ!
 結局ダメなんだって、
 一人で泣くなよ!!」




君が居てくれたことで、
いつも救われてた。


でも、鳴海先生が好きだ。





あの笑顔が好きなんだ。



だから涙があふれるの。




「…好きじゃ……ないもんっ…」




このまま、忘れられたなら。

…いいのに。







 
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