第5章 片思い × スレ違い
『はあい、愛里ちゃん。
ちょっと先生の残業に付き合って~』
鳴海先生が肩を組んできた。
なんで私が、貴方の残業なんかに。
『放課後、図書室に来てね!』
「イヤです。」
そう断ると櫻井先輩はクスクス笑いだし、
鳴海先生は唇をとんがらせた。
拗ねてた真似してもぜっぜん可愛くない。
『翔くんはさ、放課後には生徒会の仕事あるし
愛里ちゃんは暇でしょ?』
暇でしょってなんだよ!
言い方よ。言い方の問題!
暇なのは当たってるけど、
別に残業に付き合う義務なんて…
「付き合ってやんなよー。
藤瀬先生も若いんだしさ。ねー?」
『ねー?翔くぅうん』
この二人、タック組んでるようにしか
見えないんだけど。私だけかな。
「…わかりましたよ。
付き合えばいいんですね?
雑用すればいいんですね?」
『雑用って言い方でしょ、愛里ちゃん』
この空間が幸せだと、
そう思ってしまってた私
でも、本当は気づいてたのかな。
この時の私は。
好きなんだってことに。
『じゃ、またあとでね~✩』
もっと早くに気づいていたなら。
ねえ、鳴海先生。
私は貴方の特別になれていましたか