第5章 片思い × スレ違い
「愛里ちゃんって、
藤瀬先生のこと好きでしょ。」
棚に本を戻していると、
横で別の本を戻す櫻井先輩が言った。
「…ばっ……、
なに言ってるんですか!」
「あははっ、おもしろーっ。」
なんなんだ、櫻井先輩って。
頭は良いわ顔は良いわ勘は良いわ。
…待て待て。
勘は良くない。
だって、私鳴海先生好きじゃない。
なんで先生なんか好きになるの?
「それで?どこがいいの??」
「先輩、好きじゃないです」
「えええっ、うっそだあ!」
櫻井先輩は横で笑いながら
本を棚に戻していたけど
時折、私に見せる淋しげな表情に
複雑な気持ちが私に罪悪感を与えた。
『そろそろ閉めるよーっ、
はーやく戻っておいでーっ!』
「私ら犬かっ!!」
やっぱり好きじゃない!!