第5章 片思い × スレ違い
種類ごとに本を分けながら、
2人の会話に参加する。
『なんだか最近、恋愛モノが人気でさあ
読むとやっぱファンタジーだなあってさ
いいよねえ、夢見る学生はさあ』
「おじさん臭いこと言わないで下さい先生
いくら彼女いない歴かれこれ…」
『うわあああんっ、翔くうううんっっ!!』
先生の名前は藤瀬鳴海先生。
見た目は爽やかで女受けは良いけれど、
中身はヘタレの甘ったれ。
泣き虫だし、子供っぽくて鈍感で天然。
こういう人がなんで先生になれたんだか…
「彼女いない歴5年経つんだから、
言わないであげてよ」
「先輩、もう言ってますよ」
『うわあああんっ、翔くんまで…っ』
「あーあー、先輩
鳴海先生が泣き始めましたよー」
よいしょ、とカゴに本を入れる。
鳴海先生ってサボり癖があるから、
本を棚に戻す作業やりっこないしね
『もお。愛里ちゃんひどおい』
「鳴海先生、これお願いします」
さっさと終わらせて早く帰ろう。
今日は観たいテレビがあるんだよね。