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【MARVEL】This is my selfishness

第7章 7th



「えっ!むぐ」『声大きい!』



耳打ちした金額に驚いたアレックスか大きな声を出すものだから、慌ててその口を両手で塞いだ。



「…ごめん」

『うん…』

「でもちょっと気が楽になった」

『それは良かった』


顔を見合わせて、お互いにクスクスと笑い合っていると、聞き慣れたベルの音がした。ドアベルの音だ。


そちらに顔を向けると、待ちに待った人物がカウンター席に座るところだった。



『いらっしゃいませ』

「あいつがそうか?」


バッキーが席に着くと、顎をしゃくってアレックスを指す。

『あ、うん。新しいバーテンダーさんだよ』

「へぇ」


射抜くような目でアレックスを見るバッキー。

…バッキーって時々こういう目をすることがあるなあ…。警戒心が強いのかな?危ない仕事してるしね。


「あら、色男さんじゃない。いらっしゃい」


バッキーに気付いたロンさんがバッキーに注文を聞き、「そうだ」と何かを閃いた。


「今日もミアちゃんと帰るでしょ?その時に数本、酒瓶を持って帰ってくれないかしら?」


その提案にバッキーが軽く首を傾げる。


「発注数をちょっと間違えちゃってね、出血大サービスしてるのよ。ちなみに今日のオススメよ」


そう。たくさん届いてしまったお酒を【今日のオススメ】として売り出すのも解決策の1つだった。
その言葉を受けてバッキーは「わかった。ありがたく貰うよ」と答えた。


「ちょうど明日はミアに晩酌してもらう予定なんだ」

「あら!」


バッ!と勢いよくロンさんがわたしを見る。


『わたしの部屋で映画とか見ながらしようか〜って話になってて』

「あらそう〜それは楽しみね!」

「でも襲われないように気をつけなさいね」とわたしの耳許で小さくロンさんが囁いてきて、その意味を理解してしまって汗が吹き出る。
店内が薄暗くて良かった!




「もう。指名してって言ったのに」

スル、とバッキーの肩に綺麗な手が滑る。ケリーさんだ。
先程まで他のお客さんから指名を受けていたはずだけど、そのお客さんが帰ったらしい。


「…そうだったな」

バッキーは小さく息を吐いてケリーさんを振り返る。


この2人はとても絵になる。
けれどその光景を間近で見ると、胸がチクリと痛くなる。




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