【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
「新品だと同じように寝れるか分からないだろ?」
『え?まあ、そう?かな?』
「今さっきこれで寝てみて、フィットしたんだ。だからこれがいい」
両腕で抱えているクッションを更にギュ、と抱きしめるようにするバッキー。
ず、ずるい!普段とは違う表情されたら!
ちょっとワガママさんみたいにされたら!
『うぅぅ〜〜…わかった。じゃあ、今日からそのクッションはバッキーのね』
バッキーは満足そうに笑って、わたしにお礼を言った。
そこまで欲しがられるとなあ〜そんなにフィットしたのか〜〜
『あ、でもほんとに今まで使ってた物だから駄目になったらすぐ捨ててね?』
「ん」
フフン、と笑うバッキーに『本当にわかってるのかな』と思わないでもないが、まあこれでバッキーが少しでも悪夢を見なくなるのであればそれでいっか、と納得した。
『あ、今何時かな』
日が高くなってることもあるし、もう正午は過ぎてそうと思い、スマホを見ようとすると、それよりも先にバッキーが右腕に着けている腕時計を見た。
「14時前だな」
『ご飯食べなきゃ』
「せっかくだから何処か食べに行くか?」
さりげなく誘われたことに、わたしの心臓は大きな音を立てて喜んだ。
バッキーと2人で外食なんて初めて。
『いいの?』
「ああ。君の時間が許せば。今日も仕事だろ?」
『うん、大丈夫!行く!』
わたしの言葉に微笑むと、わたしがあげたクッションを抱えて、ヨガの本も持ってくれた。
サッとシートを畳んでヨガの本を受け取り、外階段を下りる。
「すぐ出れるか?」
部屋の前に着くと、バッキーが聞いてきた。
『うん。あ、ちょっとだけ着替えてもいい?』
「もちろん。俺は洗濯物忘れてたから乾燥機に突っ込んでくる」
バッキーは肩を竦めながらそう言って、クッションを部屋に置いてランドリー室へ向かった。
仕事着には着替えなくても良さそうな時間だけど、ヨガをするために動きやすさ重視の服だったから、さすがにコレで出かけるのはちょっと……。
部屋に入って、急いで着替える。
ダボッとしたTシャツに7分丈レギンスだったのを、上を襟付きのチェック柄のシャツと膝上丈のデニムスカートに変更して小さなショルダーに必要なものを入れて再び部屋を出た。