【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
───────寝れなかった…。
いや、多少は寝た。寝たと思う。
ただいつもよりぐっすり眠れなかったというか…。
どうしても頭から離れてくれない。衝撃が強すぎた。
あの夜中のことを思い出しては顔が赤くなるわたしは、もはやただの変態では?
バッキーに送ったメッセージは「気にするな」という返信がすぐに返ってきて、それに安心して寝たのに。
…ちょっと屋上でヨガでもしようかな。したことないけど、いつかしてみよう!と思った時に買ったヨガの本がある。
ただしヨガ用のマットがないから、代わりにお茶会用のシートを持っていくしかない。まあいっか。
自分が持っている服の中で比較的、体を動かすのに良さそうな服を選んで着替える。
あ〜、メッセージでお礼とお詫びを伝えたとはいえ、バッキーと顔を合わせるの気まずいな〜…
そんなことを考えている時ほど遭遇してしまうものだ。
玄関を出たら、バッキーが1階へ下りるところだった。
目が合う。
『お、おはよ…』
「おはよう」
挨拶を返してくれたバッキーの微笑みに違和感を覚えた。
その違和感の正体を確かめたくて、バッキーの元へわたしも階段を下りる。
「?」
『…具合悪い?』
顔を覗き込むように聞くと、一瞬バッキーの顔が引きつった気がした。
「いや」
『嘘』
もう一度じっくりとバッキーの顔を見てみる。
昨日…というか夜中は暗くて分からなかったけど、怪我はなくてもどこか疲れたような顔に見える。いつもよりうっすらクマがあるようにも見えるし……
『…疲れてる?寝不足?』
数日間、サムさんときっと危険なお仕事に行っていたんだろうし、帰ってきたばかりで疲れてるのも当然だとは思うんだけど…。
バッキーは何も言わずバツが悪そうに顔を背け、ランドリー室に向かう。その後をついて行く。
洗濯物を洗濯機へ入れながら、わたしがついてきたことに観念したのか、小さく言葉を吐き出した。
「…最近夢見が悪くてな」
洗剤を入れ、振り返ったバッキーの顔はやっぱり顔色が良くない。
『それで寝不足なの?』
「ああ。子供でもあるまいしな」
そう言いながら力なく笑う。
『…ヨガする?』
「は?」