【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
ミアが顔を真っ赤にして俺に「バカ!」と言い逃げて行ったあと、呆気に取られていたが次第に笑いが込み上げてくる。
────本当に可愛い奴だな。
若気の至りとでも言うのか、あの若者たちが何故野外でセックスしていたかは知らんが、おかげでまたひとつ、ミアのことを知れた。
その結果、からかわれたとでも思ったのか、顔を真っ赤にして「バカ」と言われてしまったが、それも可愛く思えるのだから、俺は結構ミアに惹かれているのだろう。
そして、彼女がまだ誰にも見せたことの無い表情があるのだと思うと喜びに心が震えた。
その表情をもし、自分に見せて貰えたら…と。
そんなことに想いを馳せながら数日ぶりの殺風景な自分の部屋に戻る。
こっちに戻ってくる前にシャワー等も済ませていたから特にすることもない。
何の気なしにテレビだけつけてみるも、気になる番組もない。
ソファに座り、ただぼんやりと流れる映像を眺める。
ここ最近、かつてのヒドラが使っていた施設に行ったり、ヒドラに関連する情報を読んだりしていたせいか、夢見が悪いのが続いていた。
そのせいで寝るのが億劫になっている。
ミアに怪我の有無をじっくりと確認されなくてよかった。
前みたいに顔を見られていたら、恐らく顔色の悪さや目つきの悪さがバレていたかもしれない。
ミアが隣に引っ越してきてからは悪夢を見る頻度が減っていた。
ミアと話したり過ごす時間は俺が求めていた安穏を感じる。
そのおかげで悪夢を見ることなく寝れていたのだが、ミアと数日会うことが無かったらこうも自分は堕ちていく。
電話やメッセージのやり取りだけでは足りないらしい。
今日はどうだろうか。
ちょっとしたアクシデントのせいであまりミアと一緒に居れなかった。
新しく入ったバーテンダーの男の話も気になる。
どれくらいそうやってぼんやりしていただろうか。
ケータイがメッセージを知らせた。
メッセージはミアからで、そこには迎えに行ったこと、一緒に帰ったことへのお礼が律儀にも記されていた。
バカと言ったことのお詫びまで。
思わず口元が緩む。
今日は悪夢を見ないかもしれない───────