【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
わたしとバッキーの間には何も無いけど、凄いものを見てしまった恥ずかしさでバッキーの顔をまともに見れない。
あれだけ早く会いたいと思っていたのに。
動悸を落ち着かせようと深呼吸をする。
「…その様子だとナニしてたか分かるんだな」
その声に顔を上げると、バッキーが小首を傾げてわたしの様子を伺うようにしていた。
その言葉の意味を遅れて理解し、深呼吸の意味はすぐになくなった。
『なっ!わ、わた、セッ、…分かるよ!経験はないけど!!』
物凄く吃った。吃った上に自分は経験が無いことを何故か暴露してしまった。慌てて口を押さえる。
バッキーは目を丸くして一瞬固まると急に意地悪そうな顔をして「へえ?」と1歩近づいてくる。
『〜バカ!』
からかわれるのが恥ずかしくて思わず謎の罵倒をして階段をバタバタと駆け上がり、後ろを振り返ることなく、鍵を開けて部屋に入った。
心臓が痛いくらいバクバクしてる。
この短時間の出来事が頭にループしてる。
なんであの2人は外であんなことを!
なんでわたしはバッキーに経験がないことを言っちゃったんだろう!
しかもバカって捨て台詞しちゃったし!
玄関に入ったすぐの所で悶々と頭を悩ませていると、隣から遅れてバッキーが部屋に入った音がした。
う〜!迎えに来てくれたことと送ってくれたことのお礼言えてないし!!もうっ!
未だに顔が熱い。火が吹き出そうなくらい。変な汗が止まらない。
…落ち着く為にもシャワーに入ろう。
それでシャワーから上がったら紅茶でも飲んで一息つこう。
先程失敗した深呼吸をする。
ふぅ…………よし。
落ち着いてからバッキーに迎えに来てくれたことと送ってくれたことのお礼と、バカって言っちゃったお詫びのメッセージを送ろう。
わたしはようやく荷物を下ろして、上着を脱いでユニットバスへ向かった───────