【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
『なんでわたしの好きなもの知ってるの?』
「良かった」
クッキーを受け取って、お客さんに見えないよう、席には背を向ける。
「僕も小腹が空く時があるから」
アレックスは照れ笑いをしながら「内緒だよ」と少し離れた位置にいるロンさんをちらりと横目で見ながら言った。
あれ、じゃあ…
クッキーを既に口に入れていたわたしが固まったのを見てアレックスが「大丈夫。ちゃんと自分の分も持ってるから」とわたしの頭を見透かした。
「甘いもの好き?」
『うん、すごく』
このチョコチップクッキーもおいしい。
大きすぎないからこういう時にサッと食べやすいし。
ただ気になるのはこの時間に甘いものを食べるという罪悪感。
「ミアは細いから心配ないと思うけど」
アレックスのその言葉に全力で首を横に振る。
『わたし幼児体型なの』
いつかわたしも大人の女性に…なんて思ってたけど、そんな簡単なものじゃなかった。
わたしの場合、自然と大人の女性のようなセクシーな体型になることはなかった。
アレックスはわたしの言葉に「ふぅ~ん?」とよく分かってないような返事だけして自分の分のクッキーを口に入れた。
その日からお互いにチョコやクッキーをポケットに入れ、交換するかのように渡し合うようになった。
「ミアちゃん、ゴミ出しお願いしていい?それ終わったら上がって大丈夫だから」
『わかりました』
土曜日の夜、閉店してから少し掃除をしているとロンさんに声をかけられた。
「僕が行こうか?」
『ううん、大丈夫だよ』
気を使ってくれたアレックスに断りを入れ、ゴミをまとめて裏口の通りにあるゴミ捨て場に持って行く。
ゴミ袋を両手に持っているため、片肘でドアノブを下げ、お尻で扉を押し開ける。
裏口はセンサーで明かりがつくが、その光はさほど強くないため、明かりがついても少し薄暗い。
目を凝らしながらゴミ捨てBOXの蓋を開けて運んできたゴミ袋を中に入れる。
捨て終わった後、戻ろうと振り返ると影が差した。
『っ!』