【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
洗濯機を待ってる間、食器洗いなどの家事をしようと思い、部屋に戻ると、ちょうどスマホの音が鳴った。
バッキーからの返信だ。
〈伝えた。ありがとうって伝えろと。〉
やっぱりサムさんも一緒だった。
2人とも無事に帰って来れますように。
軍人でもないわたしはただ祈ることしか出来ないけど、どうかこの祈りが届きますように。
早くバッキーの声を聞いて、安心したいな……。
そうだ。
少し悩んで、〈電話しても大丈夫な時間ってある?〉と送ってみた。
流石に甘えすぎかな。変に思われちゃうかな。
ソワソワしながら返信を待っていると、メッセージとは違う音が鳴り、着信画面を表示するスマホに目を丸くした。
『h、Hi!』
〈Hi、バッキーだ〉
『う、うん、』
〈何かあったか?〉
電話口のバッキーの口調はとても優しかった。耳元で聴こえるバッキーの声が少しくすぐったく感じる。
『なんでもないの!』
誤魔化すように口走ったけど、すぐに後悔する。
電話していい時間はあるか聞いといてそれはないでしょ、と。
バッキーは〈そうなのか?〉と不思議そうにしている。そりゃそうだ……
ひとつ、呼吸をして先程感じたことを打ち明けてみる。
『…白状するとね、さっきちょっと…今このアパートにはわたししかいないんだなあって考えたら急に寂しくなっちゃって…』
口に出すと思った以上に恥ずかしかった。これってすごくバッキーを恋しく感じてない?
息を飲むようなバッキーの様子が電話から感じ取れて余計に恥ずかしい。
わたしは今、バッキーを困らせてない?
『あっ、あの、もう、もう大丈夫だから!さっき、ちょっとだけ、そう思ったというか!』
慌てて取り繕う所が余計に怪しい感じに……
〈出来るだけ早く帰れるようにする〉
バッキーの真剣な声音に心臓が鷲掴みにされた。
〈ケガしないように気をつけながら、出来るだけ早く帰れるようにするから…帰るまでにまた電話していいか?〉
『うん…』
じわりと、しっかりと、バッキーの優しい声が耳から体全体へと染み渡っていく。
〈任務外に俺から電話するから、待っていて欲しい〉
『うん、わかった』
〈…君の声が聴けて良かった。またな〉
『う、うん…またね』