【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
サムと共に任務に赴く時は大概、普通の人間では処理できない案件であることが多い。
普通の人間で対処出来るものだとしても、上の人間はアイコンであるサムに行かせたいし、出来るだけ軍の生身の人間を死傷させない為にちょっとやそっとじゃ死にやしない俺を同行させる。
恩赦された身とはいえ、完全な一般人になれることは今後ないのだろう。
それでもまともな生活が送れているのは政府のおかげとも言うべきなのかもしれないが、素直に感謝する気にはなれない。
それでもやはり、ウィンターソルジャーだった俺に言えることでは無いかもしれないが。
〈バッキー、聞いてるのか〉
「聞いてる」
無線からサムに呼ばれ、意識を集中させる。
俺の上空にはレッドウィングが静かに飛行している。
「この小鳥退けてくれないか」
〈先行して生体探知してるから退けられない。可愛いだろ〉
何が可愛いんだ。小賢しい機械だろ。ちょこまかと周りを飛んでうっとおしい。
〈生体反応はないが、気をつけて進んでくれ〉
「了解」
短く答え、足音を立てないようにゆっくりと進む。
人の気配もないが、油断はできない。
何せ、かつてヒドラが使っていた建物だからだ。
スティーブが氷漬けから復活後、各地のヒドラの占拠地を潰し、施設内の物を破壊したり持ち帰ったりしたらしいが、建物自体は廃虚と化しながらも残っている場所もあり、サムと俺は数名の武装隊員を引き連れてその残っているうちのひとつに来ていた。
ここ最近、ヒドラが潜んでいたとされる施設等に使用された痕跡が発見されている。
当時のシールドや、その後のアベンジャーズに属する者達が占拠地等を潰した後、監視をしていたらしいが、サノスのデシメーションの事もあり、その機能が一時停止してしまったり、人員が確保出来ない等様々な理由により、監視に穴が出来てしまったらしい。
しかし発見されるのは微量な痕跡のみで、誰が何のために使用しているのかも分からない。
1人なのか、複数人なのか。
ただの天才学者か、ビッグ3のどれかなのか、そのどちらでもない何かなのか……全く判明していない。