【MARVEL】This is my selfishness
第6章 6th
休憩時間になり、スマホを見るとバッキーからメッセージが入っていた。
〈数日、家を空けることになりそうだ。
鍵の閉め忘れに気をつけるように。
仕事の帰り道も気をつけろよ〉
先程ロンさんに言われた「強面で甘いマスクのセキュリティ」という言葉が頭を過ぎる。
それを『紳士的なんです』と頭の中で反論する。
特別わたしのセキュリティという訳じゃなく、バッキーは紳士的で優しいから、隣人のわたしの心配もしてくれているのだ。
しかも最近、『友達』という認識になったから、要は友達の心配をしてくれている訳で。
何も特別なことは無い。
それにバッキーには、ケリーさんのような綺麗な人が似合うと思う。
以前、2人がお喋りしている所に出くわした時、2人とも大人な雰囲気だった。自分の存在が恥ずかしくなるくらいに。
わたしにはあの大人な雰囲気、出せないもん。
思い出して、途端に気持ちが落ち込む。
視線を手元に移すと、前より綺麗になった気がする自分の肌が目に入る。
……バッキーが戻ってくる頃には気付いてもらえるくらい、綺麗になってるかな…?
休憩を終えて仕事に戻ると、今度はアレックスが交代で休憩に入る所だった。
「休憩場所、分かるわよね?」
「大丈夫です」
すれ違う時に、ニコッと笑いかけてくれたアレックスに同じように笑顔で返す。
『良い人が来てくれましたね』
ロンさんにそう言うと、「そうね」とロンさんも笑った。
「求人に募集出してたのを見てくれたらしくてね、直接来てくれたのよ。人当たりも良さそうだったし、即採用しちゃった」
悪戯っ子のようにウィンクするロンさん。
「私、人を見る目があるのよ」と以前、話していたのを思い出した。
『ロンさんの目利きなら間違いないですね』
「けど心配ねえ〜」
『何がですか?』
「あなたの隣人さんよ。嫉妬しないかしら?私、怒られちゃう?」
『何でです?』
「ンもう、ミアちゃんったら鈍いんだから」
「そこがまた可愛いけど」とおでこをツン、とされた。